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相続登記に必要な費用の相場は?かかる費用を抑える方法も解説

 

相続登記に必要な費用の相場は?かかる費用を抑える方法も解説

相続登記とは、遺産相続において亡くなった人の不動産(土地や建物)の名義を相続人に変更する手続きです。この手続きをするにあたって、登録免許税や書類取得費用、専門家(司法書士)への報酬など、さまざまな費用がかかります。手続きが複雑で費用も不透明に感じがちですが、実際には費用の内訳は明確で、事前に大まかな金額を把握することができます。一般的には数万円〜十数万円が相場ですが、所有している土地や建物の評価額、依頼内容によって大きく変動します。

また、自分で登記申請を行ったり、相続人全員で事前に準備を整えたりすることで、かかる費用を減らすことができます。この記事では、相続登記にかかる費用の内訳と相場、さらに賢く節約するポイントを詳しく解説します。

相続登記にかかる費用の全体像

相続登記の費用は、自分で手続きするか専門家に依頼するかで大きく変わりますが、主に「登録免許税」「書類取得費用」「専門家報酬」の3つです。まずは、それぞれの費用の相場を掴んでおきましょう。

費用の種類は3つに分かれる

相続登記にかかる費用は、主に次の3つの種類に分類されます。それぞれの役割と一般的な費用目安を把握しておくと、全体像が見えやすくなります。

費用の種類

内容

費用の目安

1. 登録免許税

不動産の名義変更時に国に納める税金です。

固定資産税評価額の0.4%

2. 必要書類の取得費用

戸籍謄本、住民票、評価証明書など、手続きに必要な書類の取得にかかる費用です。

数千円〜1万5千円程度(相続人や不動産の数による)

3. 専門家への報酬

司法書士などの専門家に依頼する場合の費用です。

5万円〜15万円程度(依頼内容による)

ケース別費用のシミュレーション

実際の相続登記で、よくあるケースの費用をシミュレーションしてみましょう。ご自身の状況に近いケースを参考に、大まかな費用を把握するヒントにしてください。

ケース1:不動産1件、相続人2人(兄弟)の場合

ケース2:不動産2件、相続人2人(兄弟)の場合

ケース3:不動産1件、相続人4人(兄弟姉妹)の場合

いかがでしたでしょうか。不動産の評価額や相続人の数が、費用に大きく影響することがお分かりいただけたかと思います。また、専門家に依頼するかどうかでも、総費用は大きく変わります。

手続きの基本的な流れ

相続登記の手続きは、一般的に1~3ヶ月程度かかります。各段階でどのような作業が必要か、事前に流れを掴んでおきましょう。

第1段階:必要書類の収集(1~2週間)

まず、亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本や除籍謄本を取得します。本籍地が移転により複数回変わっている場合は、それぞれの市区町村から取り寄せる必要があります。同時に、相続人全員の現在戸籍謄本や印鑑証明書、不動産の固定資産税評価証明書も準備します。記載されている内容を、よく確認しましょう。また、今までの状況をご自身で確認したいという場合には、「登記事項証明書」を取得の上、記載内容を確認しましょう。

第2段階:遺産分割協議と書類作成(1~2週間)

相続人全員で不動産をどのように分けるかを話し合い、遺産分割協議書を作成します。この協議書には相続人全員の署名と実印による押印が必要です。協議がまとまらない場合は、家庭裁判所での調停や審判を経ることになり、手続きが長期化する可能性があります。また、遺言書がある場合は、合わせて確認が必要です。

第3段階:登記申請と完了(2~3週間)

必要書類が揃ったら、不動産の所在地を管轄する法務局に相続登記の申請を行います。書類に不備がなければ、通常1〜2週間程度で登記が完了し、新しい権利証(登記識別情報)が発行されます。

万が一、手続き中に書類の不備や法的な問題が見つかることもあります。そんな時は、迷わず専門家にご相談ください。特に相続人が多いケースや、不動産の権利関係が複雑な場合は、司法書士や弁護士が心強い味方になってくれます。安心して手続きを進めるためにも、専門家のサポートを検討されるのも一つの方法です。

【費用内訳①】登録免許税の計算と軽減措置

相続登記の費用の中でも、国に納める「登録免許税」は不動産の名義変更時に必ず発生します。計算方法や軽減措置を知っておけば、事前に費用を把握し、場合によっては税額を抑えることも可能です。まずは、お手元にある固定資産税の納税通知書で、不動産の評価額を確認するところから始めましょう。

固定資産税評価額×0.4%の計算方法

登録免許税は「固定資産税評価額×0.4%(1000分の4)」という計算式で算出されます。固定資産税評価額は、毎年届く納税通知書で確認できます。

計算のポイントは、建物と土地それぞれに評価額があることです。一戸建てなら土地と建物の評価額を、マンションなら専有部分と敷地権の評価額を合算して計算します。合計額に0.4%を掛けてください。100円未満の端数は切り捨てとなるため、実際の納税額は計算結果よりも少し安くなる場合があります。

また、相続人が複数いる場合でも、登録免許税は物件全体の評価額で計算されます。例えば、3人で相続する場合も、個々の相続分ではなく、不動産全体の評価額に0.4%を掛けた金額を納めることになります。

実例でみる登録免許税の金額パターン

具体的な物件の例で、登録免許税の計算パターンを見ていきましょう。

【パターン1:一般的な戸建住宅のケース】

土地の固定資産税評価額が1,200万円、建物が800万円の場合、合計2,000万円となります。この場合の登録免許税は「2,000万円×0.4%=8万円」となります。都市部の一般的な住宅であれば、このような金額になることが多いでしょう。

【パターン2:マンションのケース】

専有部分の評価額が600万円、敷地権の評価額が400万円の場合、合計1,000万円に対して「1,000万円×0.4%=4万円」の登録免許税が発生します。マンションは一戸建てと比較して土地の持分が小さいため、一般的に登録免許税も抑えられる傾向にあります。

【パターン3:高額物件のケース】

都心部の高級住宅で土地3,000万円、建物1,500万円の場合、合計4,500万円となり、「4,500万円×0.4%=18万円」の登録免許税となります。物件価値が高いほど、それに比例して税額も大きくなります。

【パターン4:古い建物があるケース】

築30年以上の古い建物では、建物の評価額が100万円程度まで下がっていることがあります。土地1,500万円、建物100万円の場合、「1,600万円×0.4%=6万4,000円」となり、建物の築年数によって総額が抑えられることもあります。

軽減措置・特例で安くできるケース

登録免許税には、税額を軽減できる特例措置があります。特に土地に関する軽減措置は、相続登記において重要なポイントです。

【土地の軽減措置】

令和7年3月31日までに相続登記を行うと、土地の評価額が10万円以下の場合は登録免許税が免税となる特例があります。これは平成30年度の税制改正で設けられたものです。
例えば、地方の山林など評価額が低い土地(8万円など)を相続する際には、本来かかるはずの登録免許税(8万円×0.4%=320円)が免除されることになります。負担を減らす大きなチャンスでもあります。

【住宅用家屋の軽減措置】

建物にも、要件を満たす住宅用家屋に軽減措置が適用されることがあります。ただし、相続の場合、新築時とは異なり適用要件が限定的です。築年数、構造、床面積などの条件を満たす必要があるため、個別の確認が必須です。

【複数筆の土地がある場合の注意点】

複数の土地を相続する場合、それぞれの土地について個別に軽減措置の適用を判定します。例えば、3筆のうち2筆が対象となれば、その2筆のみに軽減税率が適用される仕組みです。

軽減措置を利用するには、申請時に必要な書類の提出が必要です。もし司法書士や税理士、弁護士など法律の専門家に依頼されるのであれば、これらの特例について相談し、適用できるものがないか確認してもらうと良いでしょう。適切な手続きで、数千円から数万円の節税が期待できます。

【費用内訳②】必要書類の取得費用

相続登記を進める上で、避けて通れないのが各種必要な書類を取得することです。「意外と書類代がかさんだ」という声も聞かれます。しかし、事前に費用を把握しておくと、ある程度、予算の計画が立てやすくなります。書類取得にかかる費用は、相続人が多かったり、不動産が複数あったりすると意外と高くなるものです。

ここでは、相続登記で必要となる主な書類の費用について、具体的な金額を見ていきましょう。

戸籍謄本・住民票等の費用目安

相続登記で必ず必要になるのが、戸籍関係の書類です。被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍謄本をすべて集める必要があり、これが意外と費用がかかる原因になることがあります。

戸籍謄本は1通450円、戸籍抄本も同じく450円です。除籍謄本や改製原戸籍謄本は1通750円と少し高めになります。被相続人の転籍や婚姻などで複数の市区町村から取得することも多く、平均的には5〜10通程度必要になるケースが多いです。戸籍関係だけで3,000円〜7,500円程度の費用がかかるのが一般的です。

住民票は、被相続人の住民票の除票(300円程度)と相続人全員の住民票(各300円程度)が必要です。例えば相続人が3人なら、合計1,200円程度となる計算です。

印鑑証明書も相続人全員分が必要で、こちらも1通300円程度が相場です。これらの金額は自治体によって多少異なる場合があるので、事前に確認されることをおすすめします。

評価証明書などその他書類費用

不動産の価値を証明する固定資産評価証明書は、1通300円〜400円程度が目安です。不動産が複数ある場合は、土地と建物、さらに別の場所にある不動産の分だけ費用が増えます。

公図や地積測量図などの図面類は、1通450円程度が標準料金です。これらは境界や面積の確認に必要となることがあり、特に土地の形状が複雑な場合は欠かせません。

金融機関の残高証明書は、1通800円〜1,500円程度と他の書類より割高です。複数の銀行に口座があった場合は、その分費用がかかるため、把握しておきましょう。

相続関係説明図の用紙代や印刷代はわずかなものですが、専門的な書式を使用する際は司法書士に依頼することが多いため、実質的には専門家報酬に含まれることが一般的です。

書類の費用を抑えるポイント

書類取得費用は、ちょっとした工夫で抑えることが可能です。まず、必要な書類を事前にしっかりリストアップしましょう。後から追加で必要になると、その都度手数料がかかってしまうこともあるからです。

郵送で取得する際は、複数の書類をまとめて請求すると郵送料を節約できます。定額小為替の手数料(1枚200円)も考慮し、なるべくまとめて取得するのが経済的です。ただし、書類には有効期限があるものもあるので、手続き全体のスケジュールを見ながら取得時期を調整しましょう。

平日に役所へ直接行ける場合は、郵送料や小為替手数料を節約できます。また、コンビニで住民票や印鑑証明書を取得できる自治体も増えており、役所の開庁時間を気にせず取得できる上、手数料が安く設定されている場合もあります。マイナンバーカードがあれば、さらに便利に利用できます。例えば、役所では300円の住民票が、コンビニでは250円で取得できることもあります。

相続登記の書類取得費は、全体で5,000円〜15,000円程度が目安になります。ただ、相続関係が複雑だったり、不動産が多かったりする場合は、さらに費用がかかることも考えられます。専門家に相談する際は、書類の種類と費用についても詳しく確認し、思わぬ出費を避けましょう。

【費用内訳③】司法書士報酬の相場と選び方

相続登記を司法書士に依頼する際、「費用はどのくらいかかるのか」「事務所によってなぜこんなに差があるのか」と、疑問に思う方は多いのではないでしょうか。司法書士の報酬は事務所によって幅があり、適切な費用で信頼できる専門家を選ぶためにも、報酬体系を正しく理解しておくことが大切です。

基本報酬と加算要素の解説

司法書士報酬の基本的な仕組みを知っておくと、見積もりを比較する際に役立ちます。多くの事務所では、相続登記の基本報酬を6万円〜10万円程度で設定しているのが一般的です。

この基本報酬には、書類作成や法務局への申請手続き、戸籍などの収集代行といった基本的な業務が含まれています。ただし、どこまでが「基本」に含まれるかは事務所によって異なるので、事前に確認するようにしましょう。

加算要素で最も多いのは、相続人の人数によるものです。相続人が3人を超えると、1人につき1万円〜2万円程度の追加料金が発生する事務所が多いようです。これは、相続人が増えるほど戸籍収集や遺産分割協議書の作成に手間がかかるためです。

不動産の筆数も重要な加算要素です。土地と建物を合わせて3筆までは基本料金に含まれていても、それ以上になると1筆につき5,000円〜1万円程度の加算があることも。複数の農地や山林を相続する際は、この加算額が費用に大きく影響するかもしれません。

他にも、遠方の法務局への申請にかかる出張費用や、平日の手続きが難しい方への休日対応料金なども、事務所によっては加算要素として設定されています。これらの要素を事前に把握しておくと、最終的な費用の目安が立てやすくなります。

追加費用が発生しやすいケース

どのような場合に費用が追加されやすいかを知っておくと、予算を組む上で役立ちます。最も多いのは、戸籍収集が予想以上に複雑になったケースです。

例えば、被相続人が何度も転居されている場合、複数の市区町村から戸籍を取り寄せる必要があります。これには、通常の2倍から3倍の時間と手数料がかかることもあるかもしれません。特に戦前の戸籍や、すでに廃止された自治体の戸籍が必要な場合は、専門的な調査が必要となり、2万円〜5万円程度の追加調査費用が発生する可能性も考えられます。

相続関係が複雑な場合も追加費用の要因です。先代の相続が終わっておらず、数次相続が発生しているような場合、相続関係説明図の作成や法的な検討に時間がかかり、複雑案件加算として3万円〜5万円程度の追加費用が発生することもあります。また、遺言があっても、遺留分などの観点から調停や審判に発展する事例もあります。

遺産分割協議がまとまらず、調停や審判に発展した場合の書類作成サポートも追加業務です。家庭裁判所への提出書類の作成や、登記に必要な特別な書類の準備には、通常の相続登記とは異なる専門知識が必要なため、別途費用が発生するのが一般的です。

権利証が見つからない場合の本人確認手続きや、登記簿上の住所と実際の住所が異なる場合の住所変更登記も、追加費用の対象となる項目です。これらの手続きには、通常それぞれ2万円〜3万円程度の追加料金が設定されています。

見積もりの取得・費用交渉・選び方のポイント

司法書士を選ぶ際は、費用だけでなく総合的な判断が大切です。まずは複数の事務所から見積もりを取り、比較検討することをおすすめします。その際、相続人の人数、不動産の詳細、特殊事情の有無などを正確に伝え、同じ条件で見積もってもらいましょう。

見積もりの内容を比較する際は、単に基本報酬の金額だけでなく、何がその料金に含まれているのかを詳しく確認することが重要です。ある事務所では追加費用となる戸籍収集が、別の事務所では基本料金に含まれている、といったケースもあります。最終的な総額で比較し、費用対効果を判断してください。

費用の交渉については、過度な値引き要求は避けましょう。適正な報酬は質の高いサービスの対価であり、極端に安い費用では十分なサポートを受けられない可能性もあります。むしろ、支払い方法の相談や、付帯サービスの調整など、双方にメリットのある条件を検討することをおすすめします。

司法書士選びの重要なポイントは、費用の「透明性」です。見積もり段階で、追加費用が発生する可能性について明確に説明してくれる事務所は信頼できるでしょう。後から想定外の費用が発生することを避けるためにも、どんな場合に追加費用がかかるのか、事前にしっかり確認しておくことが大切です。

事務所の実績や専門性も選択の基準となります。相続登記を専門的に扱っている事務所は、効率的な手続きで結果的に費用を抑えられることも。また、相続税の相談が必要な場合に税理士と連携できるかなど、総合的なサポート体制も考慮すべき重要な要素となります。

相続登記は、人生で何度も経験する手続きではありません。費用面で不安や疑問があれば、遠慮なく専門家に相談してください。経験豊富な司法書士が、あなたの状況に合わせた最適な方法と適正な費用について、わかりやすく説明してくれるはずです。安心して手続きを進めるためにも、まずは信頼できる専門家との相談から始めてみてはいかがでしょうか。

自分でやるvs司法書士依頼の費用対効果

相続登記の手続き方法を選ぶ際、「費用はどのくらいかかるのか」「どんな経験になるのか」は、やはり気になるところでしょう。自分で手続きする場合と司法書士に依頼する場合、それぞれにメリット・デメリットがあり、総合的な費用対効果も大きく異なります。
費用だけでなく、時間や精神的な負担も考慮することで、あなたにとって最適な方法が見えてくるはずです。

自分でやった場合の総費用と体験談

相続登記を自分で行う場合、費用は主に登録免許税と証明書取得費用といった法定費用のみです。一般的な戸建て住宅(評価額2,000万円程度)なら、登録免許税が約8万円、各種証明書取得費用が3,000円〜5,000円程度で、合計8万5,000円前後が実費となるでしょう。

しかし、実際に自分で手続きを行った田中さん(仮名・58歳)の体験談には、目に見えない「コスト」が見えてきます。父親から実家を相続した田中さんは、自分で登記手続きをされたのですが、「最初は簡単だと思っていたが、想像以上に大変だった」と振り返ります。

戸籍謄本や住民票の取得で役所へ3回、法務局での相談にも2回足を運んだそうです。平日しか開いていないため、有給休暇を5日間も取得する羽目になりました。結果的に給与カットになった分を考えると、「決して安上がりではなかった」と田中さんは語ります。

さらに、書類作成では何度も書き直しが必要でした。「相続関係説明図の作成で丸一日潰れた」「遺産分割協議書の文言で家族と揉めそうになった」など、精神的なストレスも相当なものだったそうです。特に、法務局で「この書類では受理できません」と言われたときは、「もう諦めて専門家に頼もうかと思った」と当時の心境をお話しいただきました。

自分で手続きを完了させた田中さんですが、トータルで約3週間の時間を要し、「二度とやりたくない」というのが正直な感想だったようです。

司法書士に依頼した場合の総費用とメリット

司法書士に相続登記を依頼する場合、法定費用に加えて専門家への報酬が必要になります。先ほどと同じく評価額2,000万円程度の戸建て住宅なら、司法書士報酬は6万円〜10万円程度が相場で、総費用は15万円〜18万円程度が目安となるでしょう。

一方、司法書士に依頼した佐藤さん(仮名・62歳)の体験は、田中さんとは対照的なものでした。母親からマンションの登記手続きを依頼された佐藤さんは、「最初の相談から登記完了まで、ほとんど手間がかからなかった」と満足そうに話されます。

司法書士との初回面談では、相続の全体像から必要な手続きまで丁寧に説明を受け、「何をすればいいのかが明確になって安心できた」そうです。必要書類の大部分は司法書士が代理で取得してくれたため、佐藤さんが準備したのは印鑑証明書と身分証明書程度で済みました。

特に印象的だったのは、「兄弟間で相続分について意見が分かれそうになったとき、司法書士さんが法的な観点から整理してくれて、スムーズに話し合いがまとまった」という点。専門家が間に入ることで、家族間のトラブルを未然に防げたのは大きなメリットだったと振り返ります。

手続き期間も約10日間と短く、佐藤さんが実際に時間を使ったのは初回相談と書類への押印程度とのこと。「仕事を休む必要もなく、精神的な負担もほとんどなかった」と話されます。追加費用として報酬は支払いましたが、「時間と労力、そして安心感を考えれば、十分に価値のある投資だった」というのが佐藤さんの結論でした。

費用・時間・安心感の比較表と判断基準

自分で手続きする場合と司法書士に依頼する場合の違いを、比較表で整理してみましょう。

比較項目

自分で実施

司法書士依頼

総費用

8万円〜9万円(法定費用のみ)

15万円〜18万円(法定費用+報酬)

時間・労力

2〜4週間。平日5〜7日の役所・法務局通い。書類作成に20時間程度必要です。

1〜2週間。面談1〜2回(各2時間程度)のみです。

精神的負担

手続きの不安、書類不備のリスク、家族間調整の責任

専門家によるサポート、トラブル予防、完了までの安心感があります。

判断基準として重要なのは、単純な金額差だけでなく「時間価値」と「リスク回避価値」を含めて考えることです。平日に休暇を取る必要がある会社員の場合、給与カットや昇進への影響を考慮すると、実質的な費用差は縮まることもあります。

また、書類不備による手続きの遅延や、家族間でのトラブル発生リスクを考えると、「6万円〜9万円の差額で専門家のサポートと安心感が得られるなら」と考える方も少なくないでしょう。

特に、相続人が複数いる場合や不動産の権利関係が複雑な場合、遺産分割で意見が分かれる可能性がある場合は、司法書士への依頼を強く検討することをおすすめします。専門家が適切に手続きを進めることで、後々のトラブルを防ぎ、家族関係を良好に保つことにもつながります。

相続登記の費用を抑える実践的な方法とは?

相続が発生した際、思った以上に費用がかかることに驚かれる方もいらっしゃるかもしれません。でも、工夫次第でその負担を減らすことは十分に可能です。

自力でできる準備作業で司法書士費用を節約

司法書士に相続登記を依頼する際、事前準備を自分で行うことで、報酬額をかなり節約できる可能性があります。

まず、戸籍謄本の収集は時間のかかる作業ですが、平日に役所に行ける方であれば、ご自身で取得することをおすすめします。被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本一式を揃えるのは、司法書士に依頼すると1万円〜2万円程度の手数料がかかることが多いですが、自分で行えば実費の数千円程度で済むからです。本籍地が遠方でも、郵送請求が利用できるため、交通費をかけて出向く必要はありません。

固定資産評価証明書の取得も同様です。市区町村の税務課などで取得できるこの書類も、司法書士に代行してもらうと手数料が発生します。相続人であることを証明する書類があれば比較的簡単に取得できますので、時間に余裕のある方は自分で手配すると節約につながります。

さらに、相続関係説明図の作成もご自身で挑戦する価値はあります。これはご家族の関係を図式化した書類で、複雑でない相続関係であれば、インターネット上のテンプレートを参考に作成することも可能です。司法書士に依頼すると5千円〜1万円程度かかることが多いので、自作すれば用紙代程度で済ませられるでしょう。

ただし、これらの準備作業を行う際は、書類に不備があると手続きが遅れてしまう可能性もあります。不安な点があれば、専門家に相談しながら進めることが大切です。すべてを自力でやるのではなく、「自分でできる部分は自分で、専門的な知識が必要な部分は専門家に」と使い分けるのが、費用対効果の高いアプローチと言えます。

兄弟間で費用を分担するコツ

相続人が複数いる場合、手続き費用をどのように支払うのかは、大切な問題です。お金の話は、たとえ兄弟でも切り出しにくいものです。後々トラブルにならないためにも、最初にルールを決めておくことが大切です。適切な分担方法を決めることで、円満に手続きを進めながら、全体の費用負担も軽減できます。

最も公平で分かりやすいのは、相続分に応じた費用分担でしょう。例えば、長男が2分の1、次男と長女がそれぞれ4分の1ずつ相続するなら、司法書士費用や各種書類取得費用も同じ割合で分担する方法です。この方法なら、財産の割合と費用負担が一致するため、誰もが納得しやすいものです。

しかし、実際の相続では、住んでいる地域や経済状況、時間的余裕などが兄弟間で大きく異なることも珍しくありません。そのような場合は、「作業分担による調整」という考え方も有効です。例えば、実家近くに住む長男が戸籍収集や役所での手続きを担当し、その分費用負担を軽減する。一方で、遠方に住む次男は現金での費用負担を多めに引き受ける、といった具合です。

また、相続財産に現金や預貯金がある場合は、そこから共通費用を差し引いてから分割するという方法もあります。これなら、各相続人が手出しで費用を負担する必要がなくなり、精神的な負担も軽減されるでしょう。

重要なのは、費用分担について相続手続きの初期段階で話し合い、全員が合意した内容を書面に残しておくことです。口約束だけでは後から「言った・言わない」の争いになりかねません。簡単なメモでも構いませんので、誰がどの費用をどの程度負担するかを明文化しておくことで、手続き全体がスムーズに進行します。

早めの手続きで追加費用・罰金を回避

相続手続きには、様々な期限が設けられています。これを過ぎると追加費用や罰金が発生する場合があるので、早めの対応が余計な出費を避ける鍵となります。

相続税の申告は、相続開始から10か月以内という明確な期限があります。この期限を過ぎると、延滞税が課されるだけでなく、配偶者の税額軽減や小規模宅地等の特例といった税額を大幅に減らせる特例が適用できなくなる可能性も。結果的に数十万円、場合によっては数百万円の追加負担が生じることもあり、これは見過ごせません。

また、相続登記も令和6年4月(2024年4月1日)から義務化されました。相続を知った日から3年以内に手続きを行わないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。まだ認知度が低いかもしれませんが、確実に施行されているルールです。

準確定申告も見落としがちな手続きです。被相続人が自営業者や年金以外の所得があった場合、相続開始から4か月以内に準確定申告を行う必要があります。この期限を過ぎると、通常の所得税に加えて延滞税が発生し、想定以上の税負担となってしまいます。また、相続人に多額の借金があった場合などに検討する「相続放棄」については、相続開始から3ヶ月以内に手続きが必要です。

これらの期限を守るためには、相続が発生したら速やかに全体的なスケジュールを把握することが重要です。どの手続きにどのくらいの時間がかかるか事前に調べ、逆算して計画を立てることで、慌てることなく期限内に完了することができます。

まとめ

遺産相続で不動産を引き継ぐということは、単に財産を受け取るだけでなく、その後の管理責任や税務上の義務も同時に背負うことになります。固定資産税の支払い、建物の維持管理、将来的な売却や活用方法の検討など、考えるべきことは多岐にわたります。

特に、相続税の申告期限は相続開始から10か月と、悲しみの中にいるご家族にとっては決して長くありません。この限られた時間の中で、不動産の評価額を正確に把握し、他の相続財産とのバランスを考えながら遺産分割を進める必要があります。小規模宅地等の特例や配偶者控除といった税制上の優遇措置を適切に活用できるかどうかで、最終的な税負担は大きく変わってくるでしょう。

また、相続した不動産をそのまま持ち続けるのか、売却するのか、それとも賃貸に出すのかという判断は、ご家族の将来設計にも深く関わってきます。感情的な思い入れがある実家であっても、維持費用や管理の手間を考えると、必ずしも保有し続けることが最善の選択とは限りません。一方で、立地条件の良い不動産であれば、適切に活用することで安定した収入源となる可能性もあります。

こうした複雑な判断を、ご自身一人で行うのは非常に難しいことです。弁護士をはじめ、税理士や司法書士、不動産鑑定士といった専門家は、それぞれの分野で豊富な経験と最新の法制度に関する知識を持っています。彼らに相談することで、ご自身の状況に最も適した選択肢を見つけることができ、将来的な問題を未然に防ぐことにもつながります。

伴法律事務所では、遺産分割や相続トラブルのご相談を専門に受付しています。メールでのご相談は24時間、また初回60分は無料でご相談ができます。まずはお気軽にご相談いただきたいと思います。

よくある質問

Q1.費用が払えない場合の対処法は?

相続登記の費用が予算を超え、支払いが難しいと感じることは珍しくありません。登録免許税や司法書士報酬を合わせると、意外と高額になることもありますからです。

まず検討したいのは、司法書士への依頼方法の見直しです。もし相続関係が複雑でなければ、戸籍収集や必要書類の準備を自分で行い、登記申請だけを専門家に依頼することで費用を抑えられます。また、司法書士事務所によっては分割払いに対応しているところもあるので、一度相談してみる価値はあるでしょう。

登録免許税については、相続税の申告期限から3年以内であれば「相続税の申告書の写し」を添付することで免税される制度があります。これは平成30年に新設された制度で、相続税を納付された方が対象です。ただし、適用には詳しい条件がありますので、専門家に確認されることをおすすめします。

どうしても費用の工面が難しい場合は、法務局の相談窓口を利用するのも一つの手です。自分で登記申請を行う場合の手順や必要書類について、丁寧に教えてもらえます。時間と手間はかかりますが、司法書士報酬分の節約にはなるでしょう。

また、相続財産の中に預貯金がある場合、金融機関によっては相続手続きに必要な費用に限って、先行して引き出しを認めてくれることもあります。各金融機関に事情を説明し、相談してみてください。

Q2.兄弟間の費用負担でもめた時の解決策は?

相続登記の費用負担について、兄弟姉妹の間で意見が対立することは非常によくあることです。「不動産を相続する人が全額負担すべき」という考えと、「みんなで平等に負担すべき」という考え、どちらも当然の気持ちでしょう。

法的には、登記によって利益を受ける人が費用を負担するのが原則とされています。つまり、不動産を相続する人が負担するのが一般的です。しかし、家族間の関係や相続財産全体のバランスを考えると、必ずしも原則通りにいかないのが実情でしょう。

まずは、費用負担について落ち着いて話し合う場を設けることが大切です。感情的になりやすい話題ですが、まずは費用の内訳を明確にし、全員で共有しましょう。登録免許税、司法書士報酬、戸籍取得費用など、何にどれくらいかかるのかを具体的に示すことで、建設的な議論が進みやすくなります。

解決策としては、相続財産全体での調整を提案することも効果的です。例えば、不動産を相続する人が登記費用を負担する代わりに、預貯金の取り分を他の相続人より少なくする、あるいは、将来的に不動産を売却した際の利益から費用分を差し引く、といった取り決めも可能です。

それでも合意に至らない場合は、家庭裁判所の調停制度を利用することも検討してください。中立的な調停委員が間に入ることで、感情的にならずに話し合いを進めることができます。調停では費用負担だけでなく、相続全体について包括的に解決策を探ることも可能になるでしょう。

Q3.急ぎの場合はどのようにすればいい?

相続登記が義務化され、期限が迫る中で急いで手続きを進める必要が生じることもあるかもしれません。このような場合、通常よりも追加費用が発生する可能性があることを、念頭に置いておきましょう。

司法書士に急ぎで依頼すると、「特急料金」や「緊急対応費用」として、通常の報酬に1〜3割程度の割増料金が加算されるのが一般的です。また、戸籍や住民票などの必要書類を速達や窓口での直接取得で揃える必要があるため、郵送料や交通費も通常より高くなる傾向があります。

特に注意したいのは、相続人が多数いる場合や、古い戸籍の収集が必要なケースです。通常なら時間をかけて順次収集できる書類も、期限に追われると複数の市区町村に同時に依頼することになり、その分費用もかさむことになります。

急ぎの手続きでは、書類の不備による手戻りは致命的です。法務局での事前相談を必ず行い、申請書類に間違いがないことを確認してから提出するようにしましょう。一度申請が却下されると、再申請まで時間がかかり、結果的に期限に間に合わない可能性が高いからです。

また、相続人間での合意形成も急ぐ必要があります。遺産分割協議書の作成に時間がかかると、それだけで期限を超過してしまう危険性も。まずは暫定的にでも不動産の帰属を決め、詳細な財産分けは後日改めて行うといった、段階的なアプローチも検討してください。

Q4.義務化による罰金・追加費用はどうなる?

令和6年4月から相続登記が義務化され、相続を知った日から3年以内に登記を行わないと10万円以下の過料が科される可能性があります。この制度について、正確な理解が重要です。

過料は刑事罰ではなく行政上の制裁措置ですが、家庭裁判所から支払い命令が出る可能性もあります。ただし、いきなり満額の10万円が科されるわけではなく、多くは数万円程度の過料となることが予想されます。とはいえ、本来避けることができたはずの出費であることに変わりはありません。

過料を避けるには、まず相続の開始を知った日をしっかり記録しておくことが大切です。ポイントは「相続開始から3年」ではなく、「相続の開始及び所有権を取得したことを知った日」から3年という点です。疎遠な親族の相続などでは、時間が経ってから知ることもあるかもしれません。

やむを得ない事由がある場合は、過料の対象から除外される可能性があります。例えば、相続人が多数いて遺産分割協議が長期化している場合や、相続放棄の検討に時間を要している場合などがこれに当たります。しかし、そうした事由があっても、何も手続きを行わないのは危険です。

どうしても期限内に遺産分割協議がまとまらない場合は、「相続人申告登記」という簡易な手続きを利用できます。これは、自分が相続人であることを申し出る登記で、遺産分割協議が成立するまでの間、義務化の要求を満たすことが可能です。費用も通常の相続登記より安く済むため、期限対策として有効な手段となるでしょう。

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