持戻し免除の意思表示があった場合、どのように相続分を計算しますか?
A 被相続人が、特別受益の持戻し免除の意思表示をした場合には、特別受益を考慮せずに各相続人の相続額を計算します。
たとえば、Aが亡くなり、妻B、長男C、次男Dが法定相続人で、以下のような事情があったとします。
遺産総額は9000万円
Bに5000万円相当の財産を遺贈(遺言でBに財産を承継)
Cは住宅資金としてAが亡くなる5年前に3000万円を生前贈与として受領
上記の例で妻Bへの遺贈、長男Cへの生前贈与について持戻し免除の意思表示があった場合、次のとおり具体的相続分が定まることになります。
妻B :(9000-5000)×1/2=2000万円 このほかに遺贈で5000万円相当の遺産を取得
長男C:(9000-5000)×1/4=1000万円 このほかに5年前に3000万円の贈与を受けている。
長男D:(9000-5000)×1/4=1000万円
上記のとおり分割すると生前に3000万円の贈与を受けているCは合計で4000万円を取得できるのでまだよいのですが、Dは1000万円しか取得できません。Dはみなし相続財産の8分の1(1億2000万円×1/8=1500万円)の遺留分を持っているので、不足する500万円について、遺留分侵害額請求を行使することができます。
この記事の監修者

伴 広樹 伴法律事務所 代表 / 弁護士
神奈川県厚木市出身。
1997年司法試験合格後、2000年に司法修習を修了(52期)し、弁護士登録。
横浜市内の法律事務所に勤務後、2004年に伴法律事務所を開設。。






