Q 持戻し免除の意思表示はどのように行うのですか?
A 方法に限定はありません。自由な方法で意思表示することができます。
持戻し免除は、明示的または黙示的に意思表示をしていればよく、特定の方法でなければならないというものではありません(ただし、遺贈の持戻し免除の意思表示は、遺言によって意思表示しなければならないという説があります)。
たとえば、被相続人が建物の建築資金を妻に贈与し、妻がその建物で経営する飲み屋の収入で生活を維持していたという事案で、裁判所は、「被相続人としては、遅くとも相続開始の前頃には、右生前贈与をもつて、相続分の前渡しとして相続財産に算入すべきものとする意思は有していなかつたものとみることができ、したがって、特段の反証のないかぎり、被相続人は、相手方に対し黙示に右特別受益の持戻の免除の意思表示をしたものと推認するのが相当」であると判事しました(東京高裁決定昭和57年3月16日)。
また、妻に対する不動産の生前贈与について、長年にわたる貢献に報い、その老後の生活の安定を図るためにしたもので、妻には他に老後の生活を支えるだけの資産も住居もないとして、被相続人が暗黙のうちに持ち戻し免除の意思表示をしたものと認定した裁判例があります(東京高裁決定平成8年8月26日)。
この記事の監修者

伴 広樹 伴法律事務所 代表 / 弁護士
神奈川県厚木市出身。
1997年司法試験合格後、2000年に司法修習を修了(52期)し、弁護士登録。
横浜市内の法律事務所に勤務後、2004年に伴法律事務所を開設。。






