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Q 相続人の1人が、生前に被相続人の土地を無償で使用していた場合、特別受益になりますか?(土地の無償使用と特別受益)

 

Q 相続人の1人が、生前に被相続人の土地を無償で使用していた場合、特別受益になりますか?(土地の無償使用と特別受益)

たとえば父の土地に長男が建物を建築し、長年にわたり土地を無償で使用している場合、地代相当額の支払いを免れているので、長男が特別受益を受けていると考えることができそうです。

しかし、実務上、地代相当額について特別受益とは考えないのが一般です。

なぜなら、特別受益は遺産の前渡し分を考慮するものですが、土地を無償で使用させても遺産は減少しないので、遺産の前渡しとは言いがたいからです。

土地などを無償で借りることを法律的には「使用貸借」といいます。

遺産分割の場面において、建物建築のために相続人と被相続人の間で生前に使用貸借がなされた場合、土地を借りた相続人は使用借権を取得し、被相続人は使用借権の負担を負ったと考えるのが一般です。

そして、この使用借権の価値の相当額について、被相続人から相続人への特別受益があったと考えるのです。

建物所有目的の使用借権の価値は、更地価格の1割から3割程度ですが、木造建物などの非堅固建物の場合、更地価格の1割程度と評価されるのが一般です。

使用借権について、特別受益を認めることの裏返しとして、その土地の評価額は使用借権の負担を負っている分だけ減少することになります。

したがって、たとえば長男が父から土地を無償で借りて建物を建て、使用借権を取得したことの特別受益が認められる場合でも、この土地を長男が相続した場合、長男の取得した土地の評価は使用借権の負担がある分だけ低くなるので、結局は長男の特別受益を考慮せず、長男が取得した土地を更地価格で評価することと結論は一緒になります。

上記に説明したとおり地代相当額について特別受益とは認めないのが実務の一般的な取扱なので、子が生前に亡父の土地を無償で使用して建物を建築しても、特別受益が問題とならないことが多いのです。

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この記事の執筆者

弁護士 伴 広樹

経歴

神奈川県厚木市出身。1997年司法試験合格後、2000年に司法修習を修了(52期)し、弁護士登録。横浜市内の法律事務所に勤務後、2004年に伴法律事務所を開設。年間280件の相続の法律相談に対応している。
弁護士業務では①お客様の期待に沿う徹底した調査,②お客様が納得できる提案力,③お客様が安心して任せられる確実かつ迅速な処理の3つを心がけており、実際に業務に対しての評価も高い。

活動・公務など

・神奈川大学非常勤講師(2009年9月~2016年3月)
・明治大学リバティアカデミー(市民講座)講師(2015年~2016年)
・横浜弁護士会(現神奈川県弁護士会)常議員(2009年4月~2010年3月)
・一般社団法人神奈川健康生きがいづくりアドバイザー協議会神奈川健生成年後見センター運営委員会委員(2015年8月~)
・セミナー講師としての活動 川崎市役所,東京地方税理士会保土ヶ谷支部,神奈川県宅地建物取引業協会横浜中央支部,神奈川青年司法書士協議会など各種団体におけるセミナー講師を担当

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