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農家(元農家)、地主の皆様のための遺産分割(農地転用、農地区分、生産緑地、市街化調整区域内の建物建築について)

農家(元農家)、地主の皆様のための遺産分割(農地転用、農地区分、生産緑地、市街化調整区域内の建物建築について)

1 農家(元農家)の遺産分割の特殊性

(1) 不動産に関する問題が多数

被相続人が農家を営んでる方または元農家の方の場合、遺産分割の対象となる不動産が多数存在することが多く、しかも、遺産に農地(田畑)や市街化調整区域内の土地が含まれることが多いから、土地の利用、評価、境界問題、分筆、共有持分の処理、売買などの問題が発生します。

そのため、農家(元農家)の遺産分割は、不動産や農地に関する高度な知識・ノウハウが必要になります。

(2) 特別受益、寄与分の問題

複数の不動産を保有している農家(元農家)の方は、生前に子(推定相続人)に住宅建築用の土地を生前贈与したり、自宅の取得資金を生前贈与(住宅取得資金贈与)したりしていることがよくあります。

また、子が自宅を建築するために土地を無償使用(使用貸借)させたり、実家やアパートなどの建物に子を無償で住まわせたりしていることも多いです。

さらに、孫に対する教育資金贈与をしているケースもしばしばあります。

このように、農家(元農家)の相続では相続人の特別受益が問題となることが多くあります。

また長年にわたり農業や家業を手伝ってきた相続人や、両親の介護をしてきた相続人がいることが多く、これらを寄与分として遺産分割において考慮するべきか否かが問題となることがあります。

以上のように、農家(元農家)の相続では、特別受益、寄与分の問題は頻繁に発生し、これらの問題に対し、どのように対応していくのかが重要になります。

これらの問題は、たとえ交渉の段階であっても、過去の判例や裁判実務を踏まえた法律上の考え方を踏まえて、交渉を進めることが大切です。

(3) 資金確保の必要性

本家を承継した方にとっては、先祖の土地を守っていかなければならないにもかかわらず、多額の相続税を納税するための資金や他の相続人に支払う代償金を工面しなければなりません。

不動産の売却、融資などで資金を用意する場合には、資金を工面する時期やタイミングを、他の相続人との協議の進行状況に応じて検討し、無理なく金策ができるように配慮する必要があります。

資金の用意ができないと、最悪の場合、大切な遺産が競売になってしまうということもあり得るのです。

(4) アパートなどの賃貸物件の取得

また融資を受けて賃貸アパート・マンションを建築し不動産賃貸業を営んでいる方も多いですが、毎月の賃料から負債を返済しても余剰がある収益性のある物件は手元に残す方が有利なことが多いです。

不動産の評価額から負債額を控除した残額が、収益物件の評価額となって取得者の相続分に充当されるため、毎月賃料収入が得られるにもかかわらず、評価額がそれに見合うほどの高額にならないことがよくあるからです。

このような収益物件は複数の相続人が取得を希望する場合があるため、手元に残すためには、駆け引きを含めて、他の相続人と巧く交渉しなければなりません。

(5) 不動産の評価

また遺産分割における不動産の評価は、申告相続税評価額(路線価)や固定資産税評価額は用いず、実勢価格(時価)によります。

しかし実勢価格は路線価、固定資産税評価額などと異なり何かに記録されているものではないため、簡単に調べることができません。

裁判手続になれば、裁判所が選任する中立な不動産鑑定士の鑑定を経て決定されることになります。なお、相続人の一部が裁判外で私的に依頼した不動産鑑定は、依頼した相続人に有利に評価されている可能性があるため、信用性が低いものとして裁判の実務では、証拠としての価値が低くなります。

しかし、実際に不動産鑑定士の鑑定がなされる場合はごく一部で、多くのケースでは、当事者同士の交渉の中で評価額を定めていきます。

一般に、関係者それぞれが不動産業者の査定を取得して交渉をしますが、できる限り有利な金額となるように相手を説得できる材料を検討しながら交渉する必要があります。

特に市街化調整区域内にある土地は、相続税評価額よりも実勢価格の方が低いことが多々あり注意が必要です。また農地については相続税評価額や固定資産税評価額が実勢価格と乖離していることが多いです。

市街化調整区域内の土地や農地を含む遺産分割では、相続税申告書の評価額や固定資産税評価額に惑わされて協議を進めると、相当に不利益な結果となってしまうことがあります。

(6) 農地、市街化調整区域の利用制限

遺産に農地、市街化調整区域内の土地がある場合、これらの土地の利用は法律で制限されているため、安易に取得してしまうと、固定資産税等の維持管理費ばかりが発生するお荷物となってしまいかねません。

農地や市街化調整区域の不動産の特性を理解したうえで、遺産分割協議を行う必要があります。

以下に、農地、市街化調整区域内の土地の制限について詳しく説明します。

2 農地の利用制限

農地(田畑)は、通常の土地のように建物を建てたり、他に売却したりすることができません。

建築ができず売却もできない土地を、相続で取得してしまうと、固定資産税などの維持管理費用だけが発生しメリットがありません。

また、利用が制限される農地を高く評価して取得する遺産分割をしてしまうと、実質的には価値の低い農地を高値でつかまされたことになり不利益を受けます。

そこで、遺産分割を進めるにあたって、遺産である農地を他の用途に変更できるのか(建物の建築、駐車場など)が重要になります。

3 農地転用の制度

農地法では、農業利用と農業以外の利用とのバランスを図りつつ、優良な農地を存続させるために、農地を他の宅地・雑種地などに転用するにあたっては、都道府県知事等の許可を要する農地転用許可制度を定めています。

ただし、市街化区域内の土地は、農地転用の許可は不要で、農業委員会に届出することで転用が可能です。

4 市街化区域と市街化調整区域

市街化区域と市街化調整区域は、都市計画法が定めに従い地方自治体が指定する区域です。無秩序な市街化を防止し、計画的な市街化を図るため指定されます。

 ① 市街化区域

   既に市街化されているか概ね10年以内に優先的に市街化を図るべき区域

 ② 市街化調整区域

   市街化を抑制すべき区域

市街化区域内の農地は、届出で転用が可能なので、利用の制限が少なく、一般に財産的価値が高いと言えます。

ただし、後述する生産緑地の場合、指定を解除しない限り農地以外への転用はできません。

5 農地転用の許可の種類

市街化調整区域(または区域区分が定められていない都市計画区域、いわゆる非線引き区域)の農地の転用は許可が必要です。許可の種類は次のとおりです。

農地法4条による農地転用

農地の所有者が農地を転用する場合

許可申請者

 転用を行う者(農地所有者)

許可権者

都道府県知事(横浜市内・川崎市内・相模原市内・横須賀市内は各市長又は農業委員会会長)

※ただし農地の面積が4ヘクタールを超える場合には農林水産大臣との協議を要する。

農地法5条による農地転用

農地を転用するため所有権移転等を行う場合

許可申請者

 譲渡人(農地所有者)と譲受人(転用事業者)

許可権者

 ①と同じ

 そして、農地の転用が認められるか否かは、農地の区分に応じて分かれます。

6 農地の区分と農地転用

農地は、その土地の営農条件や市街地化の状況から判断して、5種類に区分されます。農地転用の可否はこの区分に大きく影響されます。

農振法の農用地区域内の農地(いわゆる青地)

市町村が定める農業振興地域整備計画において農用地区域とされた区域内の農地

農地転用の可否:農地転用は原則として許可されません。

甲種農地

市街化調整区域内にある特に良好な営農条件を備えている農地として次の要件に該当するもの

ⅰおおむね10ヘクタール以上に存在する農地で、高性能な農業機械による営農に適している

ⅱ農業公共投資(土地改良事業等)から8年以内である。

農地転用の可否:農地転用は原則として許可されません。

第1種農地

良好な営農条件を備えている農地として次の要件に該当するもの

ⅰおおむね10ヘクタール以上に存在する。

ⅱ農業公共投資(土地改良事業等)の対象である。

ⅲ高い生産力が認められる。

農地転用の可否:農地転用は原則として許可されません。

第2種農地

「市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域」に近接する区域その他市街地

化が見込まれる区域内にある農地のうち、一定の区域内にあるもの。

ⅰ相当数の街区を形成している区域

ⅱ住宅、事業所、公共施設、公益的施設が連たんしている区域に近接する区域で、おおむね10ヘクタール未満の区域

ⅲ鉄道の駅、役場からおおむね500m以内

または農業公共投資(土地改良事業)の対象となっていない小集団の生産性の低い農地

農地転用の可否:その土地の周辺の他の土地に立地できない場合は転用が許可されます。

第3種農地

市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地のうち、一定の区域内にあるもの。

ⅰ鉄道の駅、役場からおおむね300メートル以内

ⅱ住宅、事業所、公共施設、公益的施設が連たんしている区域

など

農地転用の可否:原則として転用が認められています。

7 非農地証明

登記上の地目が田や畑であっても、現況が宅地や森林などになっている場合があります。これを本来の地目である宅地等に登記するために、農業委員会の発行する非農地証明書が用いられます。非農地証明書があれば、農地法の転用許可がなくても、法務局に申請して登記上の地目を変更することができ、農地法の規制を受けずに建築や売買をすることができます。

非農地証明書の発行は、農地法などの法律に基づいて行われるのではなく、農業委員会(もしくは都道府県知事)が慣例や都道府県の通達に基づいて行っているため、自治体によって具体的な内容が異なります。

非農地証明が発行できるのは、主に次の場合です(詳細は自治体により異なります)。

農地法施行(昭和27年10月21日)以前から農地以外の土地だった場合

自然災害による災害地等で農地として復旧が著しく困難な土地

農地転用について農地法の許可が必要ない場合(市街化区域内の土地、土地収用法による収容の場合など)

20年以上耕作が放棄され、将来的にも農地として使用することが困難な場合で、農地行政法上も支障がない場合(農振法の農用地区域内の土地(青地) は不可)

8 市街化調整区域内の建物の建築

農地の転用が認められる場合でも、市街化調整区域内の土地に建物を建築することは、都市計画法によって制限されています。

市街化調整区域内において建物を建築することができるのは主に次の場合です。

(1) 許可がなくても建築可能なもの

農業従事者等の住宅(都市計画法29条1項2号)

図書館、公民館等の公益上必要な建築物(都市計画法29条1項3号)

(2) 都市計画法に基づく開発行為の許可(都市計画法29条、34条)または建築許可(都市計画法43条)を受けて建築するもの

ただし、都市計画法が定める場合しか許可を受けることができません。

都市計画法が許可をしてもよいと定める場合に次のようなものがあります。

学校、社会福祉施設等の公益施設、住民に日用品を販売する小規模店の建築をする場合

ドライブイン等の沿道サービス施設を建築する場合

自治体が条例で指定した、市街化区域と一体的な日常生活圏を構成していると認められる地域であって、おおむね50以上の建築物が連たんしている地域内で行う開発行為・建築

開発区域の周辺における市街化を促進する恐れがないと認められ、かつ、市街化区域内において行うことが困難または著しく不適当と認められる開発行為・建築として、都道府県の条例で区域、用途等を定めたもの(または自治体が開発審査会の議を経て認めたもの)

これにより認められる開発行為・建築は、自治体ごとに決めるものですが、概ね次の開発行為または建築が許可されます。

ア 分家住宅

 農家の世帯員が独立して本家とは別に分家として居住用の建物を建築する場合です

イ 既存建築物の建替

9 生産緑地

市街化区域内の土地のうち、一定の要件を満たしたため生産緑地として指定された土地です。この指定を受けた農地は、税制面での優遇(固定資産税の農地並み課税、相続税の納税猶予など)が受けられるため、農業が継続しやすくなります。その一方で、農地として維持するため、建築物の建築、宅地の造成等の行為が制限されます。

一旦指定を受けた土地は、自由に指定の解除ができません。生産緑地の指定の解除は一定の理由が生じた場合に限り、買取り申出という手続を経て行われることになります。

生産緑地の所有者は、次の事由が発生した場合、一定の要件のもと、市区町村に対して生産緑地を時価で買い取るよう申し出ることができます。

 ・生産緑地に指定されてから30年を経過する日以後

・30年を経過しない場合でも、農業の主たる従事者が死亡、又は営農できなくなるような故障が生じたとき

買取り申出から1か月以内に市区町村が買取りを行わず、かつ、農業委員会による他の農業希望者等への斡旋も不調に終わった場合に、買取り申出から3か月後に生産緑地に関する行為制限が解除されます。

10 当事務所の強み

当事務所では、これまで農家(元農家)、地主の皆様の相続問題を多数扱って参りました。

大手不動産業者と協力関係にあるため、不動産の査定や不動産売却を、当事務所を通じて依頼することができます。

また相続に精通した経験豊富な税理士と協力関係を築いており、相続税申告その他の税務処理について税理士をご紹介しますので、その税理士と協力しながら遺産分割協議を進めることが可能です。

さらに他の相続人と不動産を共同で売却する必要が生じるケースでは、当事務所が間に入って、他の相続人との間で、売却方法の決定から契約に至るまでの段取りを協議します。

土地の遺産分割は、不動産評価だけでなく、境界確定、不動産の分筆、通行地役権等の用益権の設定、代償金支払いのための抵当権の設定など、様々な問題が発生することがあります。

当事務所は借地借家契約、不動産売買、境界確定など、不動産に関連する案件を多数扱っているため、不動産問題が絡む相続案件は当事務所が最も得意とするところです。

農家(元農家)、地主の皆様の相続問題はぜひ当事務所にご相談下さい。

 

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この記事の執筆者

弁護士 伴 広樹

経歴

神奈川県厚木市出身。1997年司法試験合格後、2000年に司法修習を修了(52期)し、弁護士登録。横浜市内の法律事務所に勤務後、2004年に伴法律事務所を開設。年間280件の相続の法律相談に対応している。
弁護士業務では①お客様の期待に沿う徹底した調査,②お客様が納得できる提案力,③お客様が安心して任せられる確実かつ迅速な処理の3つを心がけており、実際に業務に対しての評価も高い。

活動・公務など

・神奈川大学非常勤講師(2009年9月~2016年3月)
・明治大学リバティアカデミー(市民講座)講師(2015年~2016年)
・横浜弁護士会(現神奈川県弁護士会)常議員(2009年4月~2010年3月)
・一般社団法人神奈川健康生きがいづくりアドバイザー協議会神奈川健生成年後見センター運営委員会委員(2015年8月~)
・セミナー講師としての活動 川崎市役所,東京地方税理士会保土ヶ谷支部,神奈川県宅地建物取引業協会横浜中央支部,神奈川青年司法書士協議会など各種団体におけるセミナー講師を担当

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