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相続放棄の確認方法とは?家庭裁判所への照会手続きを解説

 
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相続放棄の確認方法とは?家庭裁判所への照会手続きを解説

相続放棄をしたつもりでも、「本当に手続きは完了しているのか」「正式に受理されているのか分からない」と不安になる方は少なくありません。また、状況次第では相続の責任が突然自分に回ってくることがあります。相続放棄は、家庭裁判所で受理されてはじめて法的な効力が生じるため、自己判断はとても危険です。特に、相続人同士の連絡が取れていない場合や、借金の請求が突然届いた場合には、早急な確認が必要になります。この記事では、相続放棄が有効に成立しているかを確認する方法と、家庭裁判所への照会手続きの流れについて解説します。

なぜ他の人の相続放棄を確認する必要があるのか

相続が発生したとき、「自分には直接関係ない」と思っていても、状況次第では相続の責任が突然自分に回ってくることがあります。特に注意が必要なのが、自分よりも相続順位の高い相続人(配偶者や子、親など)が相続放棄をしている場合です。これらの放棄が成立すると、次の順位の相続人であるあなたが、借金を含む相続の当事者になる可能性があります。

ここでは、他の人の相続放棄を確認する必要性と、その仕組みについて解説します。

相続放棄により自分に相続権が移ってくる仕組みと概要

相続人の順位は、民法で明確に定められています。配偶者は常に相続人となり、それ以外の親族については、次の順番で相続権が認められます。

たとえば、被相続人に子どもがいる場合、原則として子どもが第1順位の相続人となります。しかし、その子ども全員が家庭裁判所で相続放棄をした場合、はじめて相続権は次の順位である親(第2順位)に移ります。

さらに、その親がすでに亡くなっている、または親も相続放棄をした場合には、兄弟姉妹(第3順位)が相続人となる可能性が生じます。このように、相続放棄は「一人が放棄したら次へ」ではなく、同じ順位の相続人が全員放棄した場合に、次の順位へ進むという仕組みになっています。

注意すべきなのは、この相続順位の移行について、裁判所や他の相続人から自動的に通知が届くわけではないということです。そのため、他の相続人が相続放棄をしていたことを知らないまま、気づいたときには自分が法定相続人の立場になっていた、というケースも実際にあります。

相続放棄が行われたかどうかを把握しないままでいると、借金を含む相続の責任が思わぬ形で回ってくる可能性も否定できません。だからこそ、自分に相続権が移る可能性がある立場にある場合は、他の相続人の相続放棄の有無を確認することが重要になるのです。

突然借金を相続してしまうリスクを避けるため

相続では、預貯金や不動産といったプラスの財産だけでなく、借金や保証債務などのマイナスの財産も含めて引き継ぐのが原則です。実際には、被相続人の借金の存在を、相続が発生するまで家族がまったく把握していなかった、というケースも少なくありません。

たとえば、被相続人の子ども全員が相続放棄をしていたにもかかわらず、その事実を知らないまま、次順位の兄弟姉妹の一人が、ある日突然、債権者から督促状を受け取ることがあります。これは、相続放棄によって相続権が自分に移っていたことに気づかないまま、相続放棄の熟慮期間(「自己のために相続の開始があったことを知った日から3か月以内」)が経過してしまい、結果として単純承認したとみなされる事例です。

重要なのは、熟慮期間は「亡くなった日」から一律に進むのではなく、自分が相続人になったことと、その事実を知った時点から進行するという点です。しかし、債権者からの通知などで初めて状況を把握した場合でも、対応が遅れれば相続放棄ができなくなる可能性があります。

こうした事態を防ぐためには、他の相続人が相続放棄をしているかどうかを早い段階で確認することが非常に重要です。特に、次のような事情がある場合は、借金が発覚するリスクが高くなります。

一度、法律上「相続を承認した」とみなされてしまうと、原則としてその判断を撤回することはできません。だからこそ、相続放棄の有無を確認することは、単なる情報収集ではなく、自分自身の財産と生活を守るための現実的で重要な防衛策だといえます。

遺産分割の前に正確な相続人を把握するため

遺産分割協議は、すべての法定相続人が参加して合意しなければ成立しません。そのため、相続人の一部を欠いたまま行われた遺産分割協議は、原則として無効となり、後からやり直しを求められる可能性があります。誰が法定相続人にあたるのかを正確に確定するためには、相続放棄の有無を把握しておくことが不可欠です。

たとえば、被相続人の子どもがすでに相続放棄をしている場合、その子どもは法律上「初めから相続人ではなかったもの」と扱われます。その結果、その人は遺産分割協議に参加する必要がなくなり、他の相続人の相続分や分配内容にも影響が生じます。

一方で、相続放棄があった事実を知らないまま遺産分割協議を進めてしまうと、次のようなトラブルにつながるおそれがあります。

こうした混乱を防ぐためには、遺産分割協議を始める前に、誰が正式な相続人なのかを確定しておくことが重要です。そのためには、「他の相続人が相続放棄をしているかどうか」を、事前に正確に確認しておく必要があります。

相続人の範囲が不明確なまま、不動産の相続登記や銀行口座の解約手続きを進めようとすると、法務局や金融機関から、戸籍一式に加えて相続放棄申述受理証明書の提出を求められることもあります。手続きの途中で慌てて確認するのではなく、初動の段階で相続放棄の有無を把握しておくことをおすすめします

相続放棄されているか、確認する方法と手続き

相続放棄は、家庭裁判所に申述し、受理されてはじめて成立する手続きです。たとえ相続人から「放棄したよ」と聞いても、実際に受理されているかは別問題です。確認が曖昧なままだと、思わぬ借金の請求を受けたり、遺産分割協議がやり直しになったりするおそれがあります。

ここでは、相続放棄の有無を確実に確認するために、受理証明書の確認や家庭裁判所への照会など、実務上の手段と流れについて解説します。

家庭裁判所への照会申請が最も確実な確認方法

相続放棄がされているかどうかを第三者が客観的に確認する方法として、家庭裁判所に対して「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会」を行うことは、最も確実な手段とされています。

たとえば、兄弟姉妹から「自分は相続放棄をした」と聞かされたとしても、その発言だけで実際に家庭裁判所で申述が受理されているかどうかを判断することはできません。法律上、相続放棄として効力が認められるのは、家庭裁判所に申述がなされ、正式に受理された場合に限られるためです。

この照会制度は、相続に関して法律上の利害関係を有する人が利用できるもので、申請を行うと、裁判所から 「当該相続について、相続放棄(または限定承認)の申述がなされたか否か」
という事実の有無について回答を受けることができます。

ただし、裁判所から通知される内容はあくまで申述の有無という事実のみであり、

といった情報までは開示されません。

また、この照会は電話やメールによる簡易な問い合わせでは行えず、所定の書式を用いた正式な申請が必要です。申請にあたっては、裁判所により申請者の本人確認や相続に関する利害関係の有無が厳格に確認されるため、戸籍資料など一定の準備が求められる点にも注意が必要です。

なお、相続放棄をした本人から「相続放棄申述受理証明書」を提示してもらえる場合には、その内容によって確認することも可能です。ただし、第三者として客観的に確認する場合には、家庭裁判所への照会が最も確実な方法といえます。

照会できる人の条件と申請先の裁判所

相続放棄の有無について家庭裁判所へ照会できるのは、相続に関して法律上の利害関係を有すると認められる人に限られます。誰でも自由に確認できる制度ではなく、申請者の立場や目的に応じて、裁判所が個別に判断します。

一般的に、照会が認められやすい立場としては、次のようなケースが挙げられます。

照会できる人

具体的な状況

他の共同相続人

同順位の相続人として、他の相続人が相続放棄をしているか確認する必要がある場合

次順位の相続人

先順位の相続人が相続放棄をしている可能性があり、自分に相続権が移るかどうかを確認する必要がある場合

被相続人の債権者

貸付金や未払金の回収にあたり、誰が相続人となるかを確認する必要がある場合

遺言執行者・相続財産管理人

相続財産の管理・処分を行う立場として、相続人の確定が必要な場合

 

たとえば、あなたが被相続人の兄弟姉妹であり、他の兄弟姉妹やその子どもが相続放棄をしているか不明な場合には、相続関係を確定させるための利害関係が認められ、照会申請が可能となるケースがあります。また、被相続人の親や祖父母などの直系尊属も、相続権が移る可能性がある立場であれば、照会の対象となり得ます。

照会の申請先となる家庭裁判所は、被相続人が最後に住民票を置いていた住所地を管轄する家庭裁判所です。本籍地ではなく、あくまで最後の住所地が基準となります。

たとえば、被相続人が東京都世田谷区に住んでいた場合には、東京家庭裁判所が管轄となり、同裁判所へ照会申請を行います。そのため、申請前に住民票の除票などを取得し、正確な住所地を確認しておくことが重要です。

照会手続きに必要な書類の準備と申請書の書き方

相続放棄の有無は、家庭裁判所に照会することで確認できます。ただし照会できるのは、相続に関して法律上の利害関係がある人に限られ、申請の際は必要書類の準備申請書の記入を正確に行う必要があります。

ここでは、照会に必要な書類の準備と申請書の書き方や、提出の流れまで解説します。書類に不足や不備があると、照会が進まず補正(追加提出)になることもあるため、提出前にチェックしながら進めましょう。

相続放棄等の照会申請書の記入ポイント

相続放棄の有無を確認するためには、家庭裁判所に対して 「相続放棄・限定承認の申述の有無についての照会申請書」を提出します。

この申請書は、各家庭裁判所の窓口で入手できるほか、裁判所のウェブサイトからもダウンロード可能です。書式自体はシンプルですが、記載内容に不備があると受理されないことがあるため、正確に記入することが重要です。

① 管轄家庭裁判所の記入

申請書の上部には、申請先となる家庭裁判所名を記入します。相続放棄や限定承認の申述は、被相続人(亡くなった方)の最後の住所地を管轄する家庭裁判所で行われるため、照会先も同じ裁判所になります。

たとえば、被相続人の最終住所地が東京都新宿区であれば、管轄は東京家庭裁判所です。管轄が不明な場合は、裁判所ウェブサイトの「裁判所の管轄区域」ページで確認できます。

② 申請人(照会する人)の情報

次に、申請人(照会を行う人)の氏名・住所・電話番号を正確に記載します。

住所は、住民票に記載されている正式な表記で記入するのが望ましいです。
あわせて、被相続人との続柄(例:長男、配偶者、姪など)を記載します。

なお、この照会は誰でも行えるわけではなく、相続人などの利害関係人に限って認められます。続柄を明記することで、照会を行う正当な利害関係があることを示します。

③ 被相続人の情報

続いて、被相続人の情報を記入します。

氏名は旧姓や通称ではなく、戸籍上の正式名称を使用してください。
本籍地についても、戸籍に記載されているとおり、番地まで正確に記載します。

これらの情報は、戸籍謄本・除籍謄本・住民票の除票などをもとに、正確に転記しましょう。

④ 照会内容の指定

照会事項として、「相続放棄または限定承認の申述の有無」にチェックを入れます。あわせて、照会対象となる相続人の氏名および被相続人との続柄を記載します。

例:
「被相続人の長女 ○○ ○○ について」

複数の相続人について照会したい場合は、対象者ごとに氏名と続柄を記載します。

⑤ 照会理由の記載

最後に、照会理由を簡潔に記入します。

例としては、「自身が相続人であり、相続手続きを進めるにあたり、他の相続人の相続放棄の有無を確認する必要があるため」といった内容で十分です。単に「確認のため」といった抽象的な理由ではなく、相続手続きとの関係性が分かる表現を心がけましょう。

⑥ 押印・提出時の注意点

記入が終わったら、申請書に押印します。シャチハタは不可で、朱肉を使用する認印を用います。

申請書は、原則として申請人本人が記名・押印して提出します。代理人が申請する場合(司法書士・弁護士などを含む)は、委任状の提出を求められることが多いため、事前に管轄の家庭裁判所へ確認しておくと安心です。

被相続人等目録と必要な添付書類一覧

照会申請書とあわせて提出する書類が、「被相続人等目録」です。これは、被相続人と相続人との関係を一覧で整理するもので、家庭裁判所が相続関係を正確に把握するために使用されます。

書式は家庭裁判所ごとに若干異なる場合がありますが、一般的には次の内容を記載します。

被相続人等目録作成時の注意点

被相続人等目録を作成する際は、戸籍謄本をもとに相続人の範囲を正確に確認することが重要です。

たとえば、被相続人に配偶者と子どもが2人いる場合、法定相続人はその3名です。また、子どもの一人がすでに亡くなっており、その子(被相続人の孫)がいる場合には、代襲相続人として孫の情報も記載します。

相続人の範囲は、配偶者・直系卑属・直系尊属・兄弟姉妹といった相続順位によって異なります。必ず戸籍関係を確認したうえで記入してください。

必要な添付書類

申請にあたっては、一般的に以下の書類を添付します。

① 被相続人の戸籍謄本または除籍謄本

被相続人が死亡していることを確認するため、死亡の記載がある戸籍謄本または除籍謄本を提出します。

※「発行から〇か月以内」といった明確な期限は法律上定められていませんが、できるだけ新しいものを提出するのが望ましいとされています。
※原本提出が原則で、コピーは認められません。

② 申請人と被相続人との関係を証明する戸籍謄本

申請人が利害関係人(相続人等)であることを示すため、続柄が確認できる戸籍謄本を提出します。

こちらも原本提出が原則です。

③ 申請人の本人確認書類のコピー(※裁判所により不要な場合あり)

家庭裁判所によっては、本人確認のために運転免許証、マイナンバーカード(表面のみ)等のコピー
の提出を求められることがあります。

ただし、すべての裁判所で必須というわけではありません。事前に管轄の家庭裁判所へ確認しておくと安心です。

④ 返信用封筒と切手

照会結果は郵送で返送されるため、返信用封筒(宛名記入済)と切手を同封します。

切手代は返送書類の重さによって異なりますが、定形郵便であれば110円(2024年10月以降)が目安です。不安な場合は、余裕をもって貼付するか、事前に裁判所へ問い合わせると確実です。

書類提出時の整理方法

提出書類は、以下の順にまとめておくと処理がスムーズです。

  1. 照会申請書
  2. 被相続人等目録
  3. 戸籍謄本・除籍謄本
  4. 本人確認書類のコピー(必要な場合)
  5. 返信用封筒

クリアファイルにまとめて提出すると、見やすくなります。

補足:相続人全員の戸籍は必要?

照会対象となる相続人全員の戸籍謄本は、原則として不要です。家庭裁判所は、相続放棄や限定承認の申述があれば、その記録を保管しているため、申述の有無を確認するだけで足ります。

ただし、相続関係や続柄に疑義がある場合には、追加資料の提出を求められることがあります。

申請手数料と郵送での手続き方法

相続放棄の有無を照会する申請には、手数料として収入印紙が必要です。照会対象者1名につき150円分の収入印紙を申請書に貼付します。

たとえば、2名の相続人について照会する場合は、合計300円分の収入印紙が必要になります。収入印紙は、郵便局や一部のコンビニエンスストア、法務局などで購入できます。申請書に貼付する際は、印紙の上に押印しないよう注意しましょう。

手続き方法(持参・郵送)

申請方法には、

の2通りがあります。

どちらの方法でも申請は可能ですが、郵送での申請が利用されることが多いです。郵送する場合は、必要書類一式を封筒に入れ、管轄の家庭裁判所の「家事受付係」宛てに送付します。裁判所の所在地や宛名は、公式ウェブサイトで確認できます。

郵送時の注意点

郵送の際は、普通郵便ではなく、簡易書留やレターパックなどの追跡可能な方法を利用することが推奨されます。特に、戸籍謄本などの原本を送付する場合は、紛失リスクを考慮し、記録が残る方法を選ぶと安心です。

申請後の流れ

申請書類が家庭裁判所に到着すると、内容の確認が行われ、不備がなければ照会手続きが進められます。書類に不備がある場合は、裁判所から電話や書面で連絡が入るため、申請書には連絡の取れる電話番号を必ず記載しておきましょう。

照会結果は、通常1週間〜2週間程度で返送されることが多いですが、

などの時期には、さらに時間を要する場合もあります。

急ぎの場合であっても、必ずしも優先処理されるとは限りませんが、事前に裁判所へ電話で相談することで、目安を確認できることがあります。

照会結果の内容と扱い

返送される回答書には、対象となる相続人について、

が記載されます。

相続放棄がされている場合は「相続放棄の申述がされています」、
申述がない場合は「相続放棄の申述はありません」といった内容で回答されます。

この回答書は、相続手続きを進めるうえでの参考資料として用いられるもので、銀行や不動産の相続手続きにおいて、他の相続人の相続放棄の有無を説明する際に活用されることがあります。ただし、相続放棄を公的に証明する書類そのものではないため、金融機関等によっては、別途「相続放棄申述受理通知書」などの提出を求められる場合もあります。

そのため、回答書は大切に保管し、必要に応じてコピーを取っておくとよいでしょう。

照会手続き自体は、書類を一つずつ確認しながら準備すれば、一般の方でも行うことが可能です。書類の取得など、手続の費用は数千円程度ですが、戸籍の収集や相続関係の判断、管轄裁判所の特定など、専門的な知識が必要になる場面もあります。

相続関係が複雑な場合や、手続きに不安がある場合には、弁護士や司法書士といった専門家に相談することをおすすめします

照会結果でわかること・わからないこと|回答書の読み方

相続放棄の照会を行うと、家庭裁判所から「回答書」という書面で結果が通知されます。ただし、この回答書に記載される内容は限られており、相続の経緯や理由まで詳しく示されるわけではありません。「他の相続人が相続放棄をしているか確認したい」と思って照会したものの、思っていたより情報が少なく、どう受け取ればよいのか迷ってしまう方も少なくありません。

そこで以下では、照会結果から実際に判明すること・判明しないことや、回答書の読み方について解説していきます。

照会でどこまでの情報が判明するか

家庭裁判所への照会によって確認できるのは、基本的に「特定の相続人について、相続放棄の申述が受理されているかどうか」という事実に限られます。

回答書には、相続放棄の申述が受理されている場合、受理された旨とその日付が記載されるのが一般的です(裁判所によっては受理番号が記載されることもあります)。これにより、「その相続人が、正式に相続放棄の手続きを完了しているかどうか」を確認することができます。

回答書から分からないこと

一方で、回答書に記載されるのは、あくまで申述が受理されたという事実のみです。

そのため、

といった動機や経緯、具体的な内容までは分かりません。

また、相続放棄の申述書に添付された戸籍謄本や資料が送付されることもないため、放棄した人の家族構成や、他の相続人の詳細な状況まで把握することはできません。

照会は「個人単位」で行う

照会は、特定の個人ごとに行う必要があります。たとえば、「兄Aが相続放棄をしているか」を調べたい場合には、兄Aの氏名や続柄などを特定したうえで照会します。

そのため、「この相続に関係する相続人全員の放棄状況を一括で確認したい」といった形での照会は、原則としてできません。相続人が複数いる場合は、必要に応じて一人ずつ個別に照会することになります。

「該当なし」と回答された場合の注意点

照会の結果、相続放棄の記録が確認できなかった場合には、 「該当する記録は確認できません」といった趣旨の回答が返されます。この場合、「現時点では相続放棄が確認できない」という意味にとどまり、必ずしも相続放棄が行われていないと断定できるわけではありません

たとえば、

といった事情があると、実際には申述があっても「該当なし」と回答される可能性があります。

このように、照会によって得られる情報は、限定的かつ事務的なものであり、相続放棄の有無という最低限の事実確認にとどまります。他の相続人の詳しい事情や、相続財産全体の状況まで把握することはできないため、照会結果を踏まえて今後の対応を検討する際には、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

回答書に記載される内容の正しい読み方

家庭裁判所から送付される回答書は、簡潔な様式であることが多く、記載内容も必要最小限にとどまります。 一般的には、「照会対象者について、相続放棄の申述が受理された記録があるかどうか」という内容のみが示されます。

相続放棄の申述が受理されている場合には、

が記載され、裁判所によっては受理番号が併記されることもあります。

受理番号・受理年月日の意味

回答書に
「令和○年○月○日受理」
「令和○年(家)第○○号」
といった形で記載されている場合、この番号は家庭裁判所における申述事件の管理番号を示しています。

この受理番号は、後日、相続放棄申述受理証明書を請求する際に必要となることがあり、実務上重要な情報です。また、受理年月日からは、相続放棄の申述が正式に受理された時期を確認できます。これにより、他の相続人の相続順位の変動や、債権者対応を検討する際の判断材料とすることができます。

※なお、相続放棄の効力は申述が受理された時点で生じるため、「確定」という表現は避け、「受理された時点」と理解するのが正確です。

「該当する記録が確認できない」と記載されている場合

回答書に 「該当する記録は確認できません」と記載されている場合、その家庭裁判所の記録上、相続放棄の受理が確認できなかったことを意味します。ただし、これは直ちに「相続放棄をしていないことが確定した」という意味ではありません。

考えられる理由としては、次のようなケースがあります。

回答書の位置づけと注意点

このように、回答書はあくまで裁判所の記録に基づく事実確認の結果を示すものにすぎません。「記録がない=相続放棄していない」と即断せず、照会先や記載情報に誤りがなかったかを改めて確認することが重要です。

また、照会対象者と直接連絡が取れる関係であれば、

を本人に確認することが、最も確実な方法といえます。

照会できない場合や制限がある状況

相続放棄の照会は、誰でも自由に行える手続きではありません。家庭裁判所では、照会を行う人が相続人や債権者などの利害関係人に該当するかどうかを確認したうえで、照会に応じるか判断します。そのため、照会の理由や立場が明確でない場合には、追加資料の提出を求められたり、結果として照会が認められないこともあります

照会が制限される主なケース

たとえば、次のような場合には、照会がスムーズに進まない、または制限される可能性があります。

利害関係を証明する資料の提出について

照会にあたっては、申請書に加えて、戸籍謄本など、利害関係を証明する資料の提出を求められることがあります

これにより、裁判所は、照会者が相続人・債権者などの正当な立場にあるかどうかを確認します。必要書類が不足している場合、照会が受理されるまでに時間がかかることもあるため、事前に十分な準備をしておくことが重要です。

記録の保存期間について

相続放棄の申述記録は、家庭裁判所に一定期間保存されます。保存期間の詳細は内部規程によりますが、通常の相続案件で問題になることはほとんどありません

ただし、極めて古い案件については、記録が廃棄されている可能性も理論上は否定できないため、その場合には照会による確認が難しくなることもあります。

自分に相続権が回ってきた場合の緊急対応

相続では、先順位の相続人が相続放棄をすると、その次の順位の人に相続権が移る仕組みになっています。たとえば、被相続人の子ども(第一順位)が全員相続放棄をした場合、相続権は親(直系尊属)へ、親もいない、または全員が放棄した場合には、兄弟姉妹へと順に移っていきます。

あなたに相続権が回ってきたということは、法定相続順位に従い、先順位の相続人が相続放棄などにより相続人でなくなった結果、あなたが相続人となったということです。

まず押さえるべき「3か月ルール」

最も重要なのは、相続放棄や限定承認には期限があるという点です。
相続人は、自己が相続人となったことを知った時から3か月以内に、

のいずれかを選択する必要があります。この期間を「熟慮期間」といいます。

この期間内に何もしないまま過ぎてしまうと、原則として単純承認したものとみなされ、プラスの財産だけでなく、借金などの負債もすべて引き継ぐことになります。

「いつから3か月が始まるのか」に注意

重要なのは、熟慮期間の起算点が、「被相続人が亡くなった日」ではなく、「自分が相続人になったことを知った時」であることです。

たとえば、

という場合には、原則として「自分が相続人になったことを知った時」から3か月が起算されます。

ただし、「知った時」がいつなのかは個別事情によって判断されるため、後日争いになる可能性もあります。そのため、相続権が回ってきた可能性を認識した時点で、できるだけ早く対応することが重要です。

まずやるべきこと

突然相続権が回ってくると、動揺するのは無理もありません。しかし、この段階で最も大切なのは、感情的に判断せず、状況を正確に把握することです。

まずは、

  1. 被相続人にどのような財産・負債があるのかを確認する
  2. 借金や保証債務の有無を調べる
  3. 相続放棄や限定承認を選択すべきかを冷静に検討する

必要に応じて、弁護士や司法書士などの専門家に相談することをおすすめします。

まとめ

相続が発生した際、「他の相続人が相続放棄をしているのかどうか」は、その後の手続きを左右する重要なポイントです。特に、借金がある可能性がある場合や、自分に相続権が回ってくるかもしれない状況では、早めの確認が欠かせません。

相続放棄の有無を正式に確認する方法として用いられるのが、家庭裁判所への照会手続きです。これは、特定の相続人について「相続放棄の申述が受理されているかどうか」を、裁判所の記録をもとに確認する制度です。誰でも自由に調べられるわけではなく、相続人や債権者など、正当な利害関係がある人に限って利用できます。

照会を行うには、所定の照会申請書を作成し、被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所へ提出します。申請書には、被相続人や照会対象者の情報、照会理由などを記載し、戸籍謄本などの必要書類を添付します。郵送での申請も可能で、比較的利用しやすい手続きといえるでしょう。

照会の結果は「回答書」として返送され、相続放棄が受理されている場合はその旨と受理年月日が記載されます。一方、記録が確認できない場合でも、必ずしも相続放棄をしていないと断定できるわけではない点には注意が必要です。

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この記事の執筆者

弁護士 伴 広樹

経歴

神奈川県厚木市出身。1997年司法試験合格後、2000年に司法修習を修了(52期)し、弁護士登録。横浜市内の法律事務所に勤務後、2004年に伴法律事務所を開設。年間280件の相続の法律相談に対応している。
弁護士業務では①お客様の期待に沿う徹底した調査,②お客様が納得できる提案力,③お客様が安心して任せられる確実かつ迅速な処理の3つを心がけており、実際に業務に対しての評価も高い。

活動・公務など

・神奈川大学非常勤講師(2009年9月~2016年3月)
・明治大学リバティアカデミー(市民講座)講師(2015年~2016年)
・横浜弁護士会(現神奈川県弁護士会)常議員(2009年4月~2010年3月)
・一般社団法人神奈川健康生きがいづくりアドバイザー協議会神奈川健生成年後見センター運営委員会委員(2015年8月~)
・セミナー講師としての活動 川崎市役所,東京地方税理士会保土ヶ谷支部,神奈川県宅地建物取引業協会横浜中央支部,神奈川青年司法書士協議会など各種団体におけるセミナー講師を担当

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