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相続手続きの流れとは?リスクや期限も解説!

 

相続手続きの流れとは?リスクや期限も解説!

相続の手続きは、故人の財産や権利を引き継ぐために必要な、大切な手続きです。

しかし「何から始めればいいのか」「どんな書類が必要なのか」「期限はいつまでなのか」など、不安や疑問を抱える方もいらっしゃるでしょう。そこで、手続きの流れや必要書類、期限をあらかじめ知っておくことで、慌てずに対応でき、相続人同士のトラブルも防ぎやすくなります。
この記事では、相続手続きの全体像を分かりやすく整理し、必要書類や期限の目安もあわせて解説します。
初めての方でも理解しやすいようにまとめていますので、安心して手続きを進められるよう、ぜひ参考にしてください。

相続手続きの基本とリスク【初めての方必見】

大切な家族を亡くした直後は、悲しみの中でも様々な手続きに追われることがあるかと思います。相続の手続きは複雑で期限も設けられていますので、基本的な流れとリスクを事前に知っておくと、後々の負担を大きく軽減できるはずです。

ここでは、相続手続きの大まかな流れや、注意すべきリスクについて解説します。

相続手続きとは?初心者でもわかる全体の流れ

相続手続きとは、亡くなられた方(被相続人)の財産や債務を、法律に従って相続人に移転させる一連の手続きのことです。多くの人は初めて経験するもので、「まず何から始めればいいの?」と戸惑うのは、当然のことだと思います。

手続きの大きな流れは、次のようになります。

まず死亡届の提出から始まり、遺言書の有無を確認します。遺言書がある場合は家庭裁判所での検認が必要になることが多く、ない場合は相続人全員で遺産分割について話し合うことになるでしょう。

同時に、被相続人の財産と債務の調査を行います。預貯金、不動産、株式などのプラスの財産だけでなく、借金や未払いの税金などのマイナスの財産も含めて、全体像を把握することが大切です。例えば、預貯金については通帳を確認するだけでなく、複数の金融機関に口座がないかチェックしてみましょう。不動産については登記簿謄本を取得し、正確な所有状況を調べる必要があります。

財産の調査と並行して、相続人の確定作業も進めていきましょう。

戸籍謄本を順次取得し、被相続人の出生から死亡まですべての戸籍を集めることで、法定相続人を漏れなく特定できます。この作業は意外と時間がかかることもあります。本籍地が複数回変更されている場合などは、各市町村役場に順次請求する段取りが必要です。

その後、相続方法を決定します。単純承認(プラス・マイナス財産をすべて相続)、限定承認(プラス財産の範囲内でマイナス財産も承継)、相続放棄(すべての財産を放棄)のいずれかを選択し、必要に応じて家庭裁判所での手続きを進めます。最終的に、各種名義変更手続きを経て相続手続きは完了となります。

放置するとどうなる?具体的なリスクと期限

相続手続きを放置することで生じるリスクは、想像以上に深刻な問題に発展する可能性があります。まず知っておくべきは、相続には法律で定められた期限があるという点です。

最も重要な期限は、相続開始を知った日から3か月以内の「熟慮期間」です。この期間内に相続放棄や限定承認の手続きを行わないと、自動的に単純承認したものとみなされます。つまり、被相続人に多額の借金があった場合でも、それを引き継がなければなりません。実際に、クレジットカードの債務や住宅ローンの残債、事業上の借金などを後から発見し、「知っていれば相続放棄したのに」と後悔されるケースも、少なからず見受けられます。

相続税の申告についても、相続開始から10か月以内という期限があります。この期限を過ぎると延滞税や無申告加算税が課される可能性があるため、本来納めるべき税額よりも大幅に負担が増えてしまうことにもなりかねません。特に不動産を多く所有していた場合や、相続人が複数いて遺産分割がまとまらない場合などは、時間がかかることが多いので注意しましょう。

さらに、手続きを放置することで相続人間でのトラブルが深刻化するリスクもあります。時間が経つにつれて相続人の状況が変わったり、感情的な対立が生まれたりすることで、当初は話し合いで解決できたはずの問題が調停や審判に発展してしまうケースも出てきます。また、相続人の一部が認知症になったり亡くなったりすることで、手続きがもっと複雑になってしまうことも、考えておかなければいけません。

不動産の名義変更については、2024年4月から相続登記が義務化されました。相続開始を知った日から3年以内に登記を行わないと過料が課される可能性があります。従来は任意だった手続きが、法的義務となりましたので、これまで以上に迅速な対応が求められるようになっています。

主要な専門用語のやさしい解説

相続手続きを進める上で避けて通れないのが、法律上の専門用語です。これらの用語を正しく理解していないと、手続きで思わぬ間違いを犯してしまう可能性も否めません。

【法定相続人】

法律によって相続する権利が認められている人のことです。配偶者は常に相続人となり、その他に子、直系尊属(父母・祖父母など)、兄弟姉妹の順で相続権があります。

例えば、夫が亡くなり妻と子が2人いる場合、妻が2分の1、子がそれぞれ4分の1ずつ相続するのが法定相続分です。

【遺産分割協議】

相続人全員で遺産の分け方について話し合うことです。全員の合意が必要で、一人でも反対者がいると成立しません。

話し合いがまとまると「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員が署名・押印(実印)して完成させます。この協議書は不動産の名義変更や銀行の手続きなどで必要になる重要な書類です。

【相続放棄】

プラス・マイナスの財産をすべて放棄する手続きを指します。単に「いらない」と口で言うだけでは効力がなく、家庭裁判所に申述書を提出する必要があります。

一度受理されると撤回できないため、慎重な判断が求められるでしょう。借金が多い場合の選択肢として知られていますが、例えば土地の管理責任を避けたい場合なども利用されることがあります。

【限定承認】

プラスの財産の範囲内でマイナスの財産も承継する方法です。財産調査が困難で借金の総額が不明な場合などに有効ですが、相続人全員で申し立てる必要があり、手続きも複雑になります。そのため、実際に利用されるケースはそれほど多くありません。

これらの基礎知識を身につけた上で、ご自身の状況に応じて専門家のサポートを受けながら手続きを進めることをおすすめいたします。弁護士をはじめ、司法書士や行政書士、税理士といった専門家は、それぞれ得意分野が異なりますので、相続の内容や複雑さに応じて適切な専門家に相談されると、より安心して手続きを進めることができるでしょう。

相続発生直後にやるべきこと【最初の2週間】

大切な方を失った悲しみの中で、相続の手続きを考えるのは本当につらいことだと思います。しかし、期限のある手続きもあるため、最低限やるべきことを整理して、ここでは相続発生から2週間以内に必要な手続きをご説明します。

まずご理解いただきたいのは、すべての手続きを同時に進める必要はないという点です。緊急度の高いものから順番に取り組み、分からないことがあれば途中で専門家に相談することも可能です。大切なのは、完璧を求めすぎず、一歩一歩確実に進めていくことです。

死亡届と葬儀関連の手続き一覧

亡くなった方の死亡が確認されたら、まず死亡届の提出が最優先です。これは法律で7日以内の提出が義務付けられており、相続手続きの大前提となる重要な手続きとなります。

死亡届は、死亡診断書(または死体検案書)と一体になった用紙に必要事項を記入し、亡くなった方の本籍地、死亡地、または届出人の住所地のいずれかの市区町村役場へ提出します。届出人は配偶者、子、父母、兄弟姉妹などの親族が行うのが一般的でしょう。24時間受付の窓口があるため、夜間や休日でも提出が可能です。

火葬許可証の交付も同時に行います。死亡届を提出する際に火葬許可申請書も提出すると、火葬許可証が交付されます。この火葬許可証がなければ火葬ができませんから、葬儀社と連携して確実に取得しておくようにしましょう。

その他の緊急性の高い手続きとしては、年金の受給停止手続きが挙げられます。国民年金は14日以内、厚生年金は10日以内に年金事務所への届出が必要です。また、健康保険証の返却、介護保険証の返却なども市区町村役場で同時に行うと効率的です。

葬儀費用については、故人の銀行口座から一定額まで払い戻しを受けられる制度もあります。金融機関によって手続きが異なるため、事前に確認しておくと安心でしょう。

遺言書の確認方法と見つかった場合の正しい対応

遺言書の有無は、その後の相続手続きの方向性を大きく左右しますので、早い段階での確認が重要です。遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類があり、それぞれ保管場所や確認方法が異なります。

まず「自筆証書遺言」の確認から始めましょう。故人の自宅の金庫、仏壇、書斎の引き出し、書棚、衣装ケースなど、大切なものを保管していそうな場所を丁寧に探してみてください。銀行の貸金庫に保管されている可能性もあるため、通帳や印鑑と一緒に貸金庫の鍵がないかも確認されるとよいでしょう。

2020年7月からは法務局での自筆証書遺言保管制度が始まっており、故人が利用していた可能性もあります。全国の法務局で検索できる「遺言書保管事実証明書」の交付を請求すれば、保管の有無を確認することが可能です。

「公正証書遺言」については、全国の公証役場で検索することができます。相続人であることを証明する戸籍謄本などを持参し、公正証書遺言の有無を確認しましょう。故人が生前に公証役場を利用していた形跡があれば、積極的に確認してみましょう。

もし遺言書が見つかった場合。その対応が重要です。自筆証書遺言が見つかった場合は、絶対に封を開けてはいけません。家庭裁判所での検認手続きが必要で、勝手に開封すると5万円以下の過料の対象となります。ただし、法務局で保管されていた自筆証書遺言については検認が不要です。

公正証書遺言の場合は検認手続きは不要ですが、遺言の内容を正確に把握し、相続人全員で内容を共有することが大切です。遺言書の内容に疑問がある場合や、相続人間で意見が分かれる場合は、早めに専門家に相談されることをおすすめします。

相続人を特定するための戸籍収集の方法

相続手続きを進めるためには、まず法定相続人が誰なのかを正確に把握することが欠かせません。これは戸籍謄本などの収集によって行いますが、思っている以上に時間と手間がかかる作業ですので、計画的に進めることが重要です。

戸籍の収集は、故人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本などを取得することから始まります。まず故人の最後の本籍地の市区町村役場で、戸籍謄本(全部事項証明書)と除籍謄本を請求しましょう。その戸籍に記載されている従前の本籍地をたどり、出生まで遡って戸籍を収集していくことになります。

古い戸籍は手書きで読みにくいものも多く、本籍地が複数回変更されている場合は、それぞれの市区町村に請求する必要があります。郵送でも請求できますが、往復に時間がかかりますから、可能であれば直接窓口で請求する方が効率的です。

相続人の戸籍も併せて収集します。配偶者の戸籍謄本、子がいる場合は子の戸籍謄本、子がすでに亡くなっている場合はその子(孫)の戸籍謄本も必要です。故人に子がいない場合は、故人の両親や兄弟姉妹の戸籍も収集する必要があり、作業は複雑になりがちです。

戸籍収集で特に注意したいのは、故人に認知した子がいないか、養子縁組をしていないか、前婚での子がいないかという点ですね。これらは相続分に大きく影響するため、戸籍を注意深く読み取ることが大切です。

戸籍の読み取りに不安がある場合や、相続関係が複雑な場合は、弁護士や司法書士などの専門家に依頼することも検討されるとよいでしょう。

相続財産の調査と相続の選択【3ヶ月以内】

相続が開始されると、まず相続人がしなければならないのは「相続財産の全体像を把握する」ことです。この調査結果をもとに、相続するかどうかの重要な選択を3ヶ月以内に行う必要があります。

預貯金・不動産・株式など財産調査の具体的な方法

相続財産の調査は、故人の生活の中心から進めることが大切です。まず、故人の自宅や職場のデスク、金庫などから通帳、証券会社の取引報告書、不動産の権利証、保険証券などの書類を探してみましょう。

預貯金については、故人の住所地や勤務先周辺の金融機関に「残高証明書」の発行を依頼します。相続人であることを証明する戸籍謄本と身分証明書があれば、たとえ通帳が見つからなくても口座の有無や残高を確認できます。ゆうちょ銀行については、全国どの郵便局でも貯金の有無を照会できる「貯金等照会サービス」の利用が可能です。

不動産については、故人宛に送られてくる固定資産税の納税通知書が最も確実な手がかりになります。もし見つからない場合は、故人の本籍地や居住地の市区町村役場で「固定資産課税台帳」を閲覧することで、所有不動産の詳細を把握できるでしょう。

株式や投資信託などの有価証券は、証券会社からの取引報告書や配当金の支払調書を手がかりに調査します。また、株主優待の郵便物や企業からの配当金通知なども重要な手がかりとなりますね。最近では、「証券保管振替機構(ほふり)」の開示請求制度を利用することで、全国の証券会社での取引状況を一括照会することも可能です。

生命保険については、故人宛の郵便物や保険証券から保険会社を特定し、死亡保険金の請求手続きを行います。勤務先での団体保険や、クレジットカードに付帯する保険なども見落としがちですから、注意が必要です。

借金の有無を確実に調べる手順と注意点

相続では、プラスの財産だけでなく借金などのマイナス財産も引き継ぐことになるため、債務の調査は特に慎重に行う必要があります。まず、故人宛の郵便物から金融機関やクレジットカード会社、消費者金融からの通知書がないか確認しましょう。

個人信用情報機関への照会も重要です。

CIC(株式会社シー・アイ・シー)、JICC(株式会社日本信用情報機構)、KSC(全国銀行個人信用情報センター)の3つの機関に対して、相続人が故人の信用情報開示請求を行うことができます。これにより、クレジットカードの未払い、ローンの残債、消費者金融での借入などの状況を把握できるでしょう。

住宅ローンについては、金融機関から送付される返済予定表や、団体信用生命保険の契約書類を確認します。団体信用生命保険に加入していれば、死亡時にローン残債が保険金で完済される可能性もあるでしょう。

事業を営んでいた場合は、取引先への買掛金、従業員への未払い給与、税務上の債務なども調査対象となります。税理士や会計士との契約書類、確定申告書の控えなどから債務の全体像を把握していきましょう。

保証債務についても注意が必要です。故人が他人の借金の保証人になっていた場合、その債務も相続の対象となります。保証契約書や連帯保証に関する書類がないか、慎重に調査することが重要です。

単純承認・限定承認・相続放棄の選び方と手続き期限

相続財産の調査結果をもとに、相続開始を知った日から3ヶ月以内に、単純承認・限定承認・相続放棄のいずれかを選択しなければなりません。この期限を「熟慮期間」と呼び、期限を過ぎると自動的に単純承認となってしまうので注意しましょう。

単純承認は、プラスの財産もマイナスの財産もすべてを無条件で引き継ぐ方法です。明らかに資産が債務を上回る場合や、住宅などの不動産を確実に相続したい場合に選択されます。特別な手続きは不要で、相続財産を処分したり、債務を支払ったりする行為により、単純承認したものとみなされます。

限定承認は、相続によって得た財産の範囲内でのみ債務を負担する方法です。財産と債務のどちらが多いか判断できない場合に有効ですが、相続人全員の同意が必要で、手続きも複雑になります。家庭裁判所への申述が必要となり、その後の財産処分や債権者への対応も法定の手続きに従って進めることになります。

相続放棄は、相続権自体を放棄し、プラスの財産もマイナスの財産も一切引き継がない方法です。明らかに債務が財産を上回る場合や、相続争いに巻き込まれたくない場合に選択されます。家庭裁判所への申述が必要で、一度受理されると撤回できませんから、慎重な判断が求められます。

これらの選択は、単に財産の多寡だけでなく、家族関係や将来的な影響も含めて総合的に判断する必要があります。特に事業承継が関わる場合や、不動産の処分が困難な場合など、複雑な状況では専門家の助言を求めることで、より適切な選択ができるはずです。

【相続発生から10ヶ月】遺産分割の進め方

身内が亡くなり、悲しみもまだ癒えない中で「遺産分割」という現実的な問題に向き合わなければならない状況に、多くのご家族が直面するのではないでしょうか。

相続が発生してから相続税の申告期限である10ヶ月以内に遺産分割を完了させることは、税務上の優遇措置を受けるために重要です。しかし、時間的な制約がある中で、相続人全員が納得できる分割を実現するには、適切な進め方を理解しておく必要があります。

遺産分割の進め方と話し合いのポイント

遺産分割協議は、相続人全員が参加して遺産の分け方を決める話し合いです。まず、相続人の確定と相続財産の調査を完了させてから協議を開始しましょう。

協議を円滑に進めるための第一歩は、感情的な対立を避けるための環境づくりです。故人への思いや生前の関係性によって、相続人それぞれが異なる感情を抱いている場合があります。例えば、長年親の介護を担ってきた相続人は「自分がより多く貢献した」と感じる一方で、遠方に住んでいた相続人は「法定相続分通りに分けるべき」と考えるかもしれません。

話し合いでは、具体的な数字と根拠を明確にして進めることが重要です。不動産の評価額、預貯金の残高、負債の金額などを全員で共有し、分割方法についても複数のパターンを検討します。現物分割(財産をそのまま分ける)、代償分割(一人が相続して他の相続人に代償金を支払う)、換価分割(財産を売却して代金を分ける)、共有分割(複数人で共有する)の4つの方法があります。財産の性質や相続人の状況に応じて最適な方法を選択してください。

協議の過程では、各相続人の生活状況や今後の予定も考慮する必要があります。住宅ローンを抱えている相続人、介護が必要な高齢の相続人、子供の教育費が必要な相続人など、それぞれ異なる事情を抱えているものです。法定相続分にこだわりすぎず、実情に配慮した柔軟な分割方法を模索することで、全員が納得できる解決策を見つけやすくなるでしょう。

遺産分割協議書の作成方法と必要な添付書類

遺産分割協議がまとまったら、その内容を「遺産分割協議書」という正式な文書にまとめましょう。この書類は、不動産の名義変更や銀行口座の相続手続きなど、様々な場面で必要となる重要な文書です。

協議書の作成では、財産の特定を正確に行うことが最も重要です。不動産であれば登記簿謄本に記載されている地番・家屋番号・面積を正確に記載し、預貯金であれば銀行名・支店名・口座番号まで明記しましょう。曖昧な表現を使うと、後々の手続きで問題となる可能性があります。

例えば、「実家の土地建物を長男が相続する」という表現では不十分です。「○○市○○町○丁目○番○号宅地○○平方メートル、同所在 家屋番号○番の○ 木造瓦葺2階建 床面積1階○○平方メートル、2階○○平方メートル」のように具体的に記載する必要があります。

協議書には相続人全員の署名と実印による押印が必要です。印鑑登録証明書を添付します。印鑑登録証明書は発行から3ヶ月以内のものを求められることが多いですから、協議がまとまった段階で速やかに取得することをおすすめします。

その他の必要書類として、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、相続人全員の住民票などがあります。これらの書類は相続人の確定と身元証明のために必要で、金融機関や法務局での手続きの際に提出を求められます。

相続人の間でもめるケースと解決方法

相続人間の対立が生じる主な要因は、感情的な問題と経済的な利害の対立です。特に多いのが、生前の介護や経済的支援に関する貢献度の違いを巡る争いでしょう。

よくあるケースとして、長年にわたって親の介護を担ってきた子供が「自分の貢献を考慮してほしい」と主張する一方で、他の相続人は「法定相続分通りに分けるべき」と主張する状況があります。このような場合、寄与分という制度を活用することで、特別な貢献をした相続人の取り分を増やすことができる可能性もあります。

また、不動産の評価額を巡る対立も頻繁に発生します。同じ不動産でも、固定資産税評価額、路線価、実勢価格など複数の評価基準があり、どの価格を基準にするかで分割の結果が大きく変わってしまいます。こうした場合は、不動産鑑定士による鑑定評価を取得することで、客観的な基準を設けることができるでしょう。

対立が深刻化した場合の解決方法として、家庭裁判所の調停があります。調停では、裁判官と調停委員が中立的な立場から話し合いの仲介を行い、解決策を探ります。調停は非公開で行われるため、家族間の問題が外部に知られることなく解決を図ることが可能です。

相続税の申告と納付【10ヶ月以内】

相続税については「お金持ちの話」と思われがちですが、近年の不動産価格の上昇や法改正により、一般的な家庭でも申告が必要になるケースが増えています。

相続税の申告と納付は、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内という厳格な期限が設けられています。この期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税などの重いペナルティが課せられるため、早めの準備と正確な手続きが不可欠です。

相続税の申告が必要なケースと基礎控除額の計算方法

相続税の申告が必要かどうかは、まず基礎控除額を正しく計算することから始まります。現在の基礎控除額は「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算されます。

具体的な例で説明すると、配偶者と子ども2人が相続人の場合、法定相続人は3人となりますから、基礎控除額は「3,000万円+600万円×3人=4,800万円」です。相続財産の総額がこの4,800万円を超えた場合に、相続税の申告が必要になる、というわけです。

注意すべきは、相続財産の評価には現金や預金だけでなく、不動産、株式、生命保険金、退職金なども含まれることです。特に自宅の土地建物は、路線価や固定資産税評価額で評価されるため、購入時の価格とは大きく異なる場合があります。都市部では土地の評価額が思いのほか高く、「普通の一戸建てなのに基礎控除を超えてしまった」というケースも珍しくありません。

また、被相続人が亡くなる前3年以内に贈与を受けた財産は、相続財産に加算される仕組みになっています。生前贈与を活用していたご家庭では、この点も含めて総額を計算する必要があるでしょう。

相続税申告書の書き方と必要書類

相続税の申告書は全16表からなる複雑な書類で、一般の方には非常に理解しにくい構造になっています。まず基本となる第1表から第15表まで、それぞれ異なる内容を記載する必要があり、相続人全員の情報や財産の詳細な評価額を正確に記入しなければなりません。

申告書と合わせて提出が必要な書類は多岐にわたります。戸籍謄本一式は相続人を特定するため、被相続人の出生から死亡まで連続したものが必要です。遺産分割協議書がある場合はその写しと相続人全員の印鑑証明書、不動産については登記事項証明書や固定資産税評価証明書が求められます。

預貯金については、各金融機関から残高証明書を取得し、株式等がある場合は証券会社からの残高証明書も必要です。生命保険金や退職金を受け取った場合は、それぞれの支払調書や証明書の添付が求められます。

特に注意が必要なのは、小規模宅地等の特例や配偶者の税額軽減といった優遇措置を適用する場合です。これらの特例を利用する際は、相続税額が0円になったとしても申告書の提出が必要で、特例の適用要件を満たすことを証明する追加書類の準備が不可欠となります。

書類の準備には相当な時間がかかるため、相続発生から2〜3ヶ月以内には着手されることをお勧めします。金融機関や法務局での書類取得は平日のみの対応が多いので、働いている相続人の方は特に余裕を持ったスケジュール管理が重要になります。

相続税の納付方法と分割納付の条件

相続税は申告期限と同じく、被相続人が亡くなった日の翌日から10ヶ月以内に納付しなければなりません。納付方法には現金一括納付が原則ですが、金額が高額になる場合には延納や物納という制度も用意されています。

現金での納付が困難な場合、まず検討されるのが延納制度です。延納が認められるには「相続税額が10万円を超えること」「金銭で納付することが困難であること」「担保を提供すること(延納税額が50万円未満の場合を除く)」という要件を満たす必要があります。延納期間は相続財産に占める不動産等の割合により5年から20年まで設定され、年利は1.2%から6.0%の利子税がかかります。

延納でも困難な場合には物納制度があります。物納は現金や延納によっても納付が困難で、かつ物納財産が納付すべき相続税額の範囲内である場合に限り認められます。物納できる財産には優先順位があり、第一順位は国債・地方債・不動産・船舶、第二順位は社債・株式等、第三順位はその他の財産となっています。

実際の納付手続きでは、税務署での現金納付のほか、銀行振込、口座振替、クレジットカード納付、電子納税も利用できます。ただし、クレジットカード納付には手数料がかかるため、納付額によってはコストが高くなる点に注意が必要です。

分割して納付する場合でも、法定期限内に第1回目の納付を行い、延納申請書を提出することが重要です。期限を過ぎてからの申請は原則として認められないため、資金繰りに不安がある場合は早めに税務署に相談されることをおすすめします。

令和の法改正で注意すべきポイント

令和時代に入ってから、相続税に関する法改正が段階的に実施されており、これらの変更点を把握しておくことが重要です。特に注目すべきは、生前贈与に関する改正と土地評価の見直しです。

令和6年1月1日以降の相続について、生前贈与の相続財産への加算期間が従来の3年から7年に延長されました。これまでは被相続人が亡くなる前3年以内の贈与のみが相続財産に加算されていましたが、今後は7年以内の贈与が対象となります。ただし、延長された4年分(4年前から7年前まで)については、贈与財産の価額から100万円を控除する緩和措置が設けられています。

この改正により、生前贈与を活用した相続対策の効果を実感するまでに、より長期間を要することになりました。すでに贈与を行っていたご家庭では、過去の贈与履歴を正確に把握し、相続税額への影響を再計算する必要があるでしょう。

また、相続税の申告実務では、マイナンバーの記載が義務化されており、申告書にはマイナンバーカードまたは通知カードの写しの添付が必要となっています。デジタル化の推進により、今後は電子申告の利用も増えると予想されますが、一般の方には操作が複雑な面もあります。

土地評価についても、令和4年度の改正で宅地の評価方法が一部見直されています。特に、無道路地や不整形地などの利用価値の低い土地の評価額算定がより実態に即したものとなっており、従来より評価額が下がるケースもあります。

相続登記と名義変更の手続き【期限内に必ず完了】

相続で最も重要な手続きの一つが、故人の財産を相続人の名義に変更することです。この手続きは単に書類を提出すればよいというものではなく、法的な効力を持つ正式な手続きとして、厳格なルールと期限が設けられています。

令和6年4月から相続登記が義務化され、不動産を相続した場合は原則として3年以内に登記申請を行わなければなりません。これまでは任意だった手続きが法的義務となったため、放置していると10万円以下の過料が科される可能性があります。また、相続登記以外にも預貯金や株式、自動車など、故人名義のあらゆる財産について名義変更が必要です。

これらの手続きは、相続人が複数いる場合の遺産分割協議、相続税の申告期限との兼ね合い、各種書類の有効期限など、様々な要素が複雑に絡み合います。一つの手続きが遅れると他の手続きにも影響が出る可能性がありますから、全体のスケジュールを把握した上で計画的に進めることが重要です。

特に、相続財産に不動産が含まれている場合は、登記申請に必要な書類の準備だけでも相当な時間がかかります。戸籍謄本や印鑑証明書などは取得から数ヶ月で有効期限が切れるものもあり、タイミングを見計らって順序よく進める必要があります。

不動産の相続登記に必要な書類と申請方法

不動産の相続登記申請には、被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本、相続人全員の戸籍謄本、住民票、印鑑証明書などが必要です。これらの書類は、相続関係を法的に証明し、正当な相続権を持つ人物であることを立証するために不可欠なものとなります。

被相続人の戸籍については、出生から死亡まですべての記録を、連続して確認できるようにまとめる必要があります。これは、認知していない子どもや養子縁組の有無など、すべての相続人を特定するためです。転籍を繰り返している場合は、複数の市区町村から戸籍を取り寄せる必要があり、一週間から数週間の時間を要することも珍しくありません。

相続人が複数いる場合は、遺産分割協議書の作成も必要です。この協議書には、どの相続人がどの財産を相続するかを明記し、相続人全員が実印で押印する必要があります。協議書の内容に不備があると登記申請が受理されませんから、記載内容は正確性が求められます。

登記申請書は法務局の定める書式に従って作成し、登録免許税として固定資産税評価額の0.4%を納付します。申請は対象不動産を管轄する法務局に行い、書面申請とオンライン申請のいずれかを選択できます。申請後は法務局での審査があり、通常1〜2週間程度で登記が完了します。

まとめ

相続手続きを漏れなく進めるために、時系列順に整理したチェックリストをご紹介します。各項目にチェックを入れながら進めることで、手続きの進捗状況を把握できるでしょう。

期限

やるべきこと

主な提出先

ポイント・注意点

死亡直後〜
7日以内

死亡届の提出

市区町村役場

相続手続きの大前提。7日以内厳守。

火葬許可証の取得

市区町村役場

死亡届と同時に申請。火葬に必須。

年金事務所への死亡届提出

年金事務所

厚生年金は10日以内、国民年金は14日以内。

健康保険証の返却

市区町村役場

国民健康保険は14日以内。

介護保険証の返却

市区町村役場

該当者のみ。

14日以内

国民健康保険の資格喪失届

市区町村役場

国保加入者のみ。

世帯主変更届

市区町村役場

必要な場合のみ。

公共料金の名義変更または停止

各事業者

引き落とし口座の確認を。

銀行口座の凍結確認

各金融機関

必要書類の準備を開始。

3ヶ月以内

相続人の確定

市区町村役場(戸籍収集)

出生から死亡までの連続戸籍が必要。

相続財産の調査と一覧表作成

自宅、金融機関、税務署など

プラス・マイナス両方を確認。

相続放棄または限定承認の検討

家庭裁判所

借金が多い場合など。3ヶ月の期限を過ぎると単純承認に。

遺言書の確認

自宅、法務局、公証役場など

自筆証書遺言は家庭裁判所の検認が原則必要(法務局保管除く)。

準確定申告の準備開始

税務署

死亡から4ヶ月以内が期限。

10ヶ月以内

遺産分割協議の実施と協議書作成

相続人全員

全員の合意が必須。

不動産の相続登記申請

管轄法務局

2024年4月から義務化、3年以内が期限(ただし遺産分割完了後速やかに)。

預貯金の相続手続き

各金融機関

口座凍結解除、払い戻しなど。

有価証券の名義変更手続き

各証券会社

口座開設が必要な場合も。

相続税の申告・納税

管轄税務署

相続税が発生する場合のみ。

相続手続きの中には、比較的簡単に自分で対応できるものから、専門知識が必要で複雑なものまで幅広く存在します。どこまで自力で進められるかを適切に判断することで、時間とコストを効率的に使えるでしょう。

死亡届や各種保険証の返却といった届出関係は、必要書類さえ揃えば比較的スムーズに進められます。市区町村の窓口や年金事務所では、手続きの流れを丁寧に説明してくれますから、一般の方でも十分対応可能です。

一方で、相続人の中に行方不明者がいたり、認知症の方がいる場合は、家庭裁判所での手続きが必要になることがあり、法的な知識が不可欠です。

事業を営んでいた場合、または相続人同士で遺産分割について意見が対立している場合や、遺言書の内容に疑問がある場合は、司法書士や弁護士などの法律専門家に相談することで、適切な解決方法を見つけることができるでしょう。

相続手続きは複雑で時間のかかる作業ですが、一つひとつ丁寧に進めていけば決して不可能ではありません。一人で悩まず、必要に応じて専門家のサポートも活用しながら、相続手続きを完了させてください。

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