遺産分割 代償金の額を巡って紛争になった事例
事案の内容
兄弟数人が土地建物を相続した事案で、相続人の1人が、遺産となっている土地と建物を利用して先代から継承した家業を営んでいました。しかし、その方が土地建物の単独取得を希望したところ、他の兄弟から法外な金銭を要求されて困っていました。
当事務所の活動内容
当事務所は家業を承継した相続人から依頼を受け、すぐに遺産分割調停の申立をしました。従前の経過から、話し合いをずるずると継続するよりも遺産分割調停の申立をした方が、早い解決ができると考えたためです。
主要な争点は不動産の評価でした。調停手続の中で不動産の評価額が問題となれば、最終的には不動産鑑定士による鑑定を実施することになります。しかし鑑定は30万~50万円程度の費用がかかるというデメリットがあるだけでなく、鑑定の結果によっては予想を超える代償金になってしまうという不安があります。
そこで、不動産業者作成の簡易査定書を提出し、不動産の価格が他の兄弟が主張するような高額なものでないことを説明するとともに、お客様が被相続人の生前に経済的な貢献をしてきたことの説明書及び証拠書類を提出して寄与分を主張し、他の兄弟に譲歩を促しました。
結果
調停申立から3か月以内に、調停が成立しました。調停では、お客様が当初希望していた代償金の額に10%上乗せをした金額を支払うことになりました。
このように代償金の額を巡る紛争は、適切な資料と主張書面を提出しつつ、他の相続人と上手に交渉することが、早期の解決に結びつきます。